春うらら

□第一話
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立海大学付属高等学校。この春から私が通う学校だ。以前に二度(体験入学と受験の時)に来たことがあるが、来るたびに思う。テガイ。ほんとデカイ。さすが私学。さすがマンモス校。校舎のデカさにはおいおい慣れていこうと思いつつ、入学のご案内と書かれた封筒から地図を取り出す。
入学式の会場(体育館)はどこにあるんだろう。えーと、今私がいるのは校門で…体育館は…こっちだな。場所は把握出来たので地図を制服のポケットにいれて、歩き出した。
新入生らしき人たちが私と同じ方向に移動しているのを確認しつつ、きょろきょろと辺りを見回してみる。花壇綺麗だなぁ。校舎の間からチラッと見えたグランドも無駄に広い。トラック何メートルあるんだろう。なんて考えている考えていると体育館に着いた。
うん、体育館もデカイ。式が始まるまで大人しく座ってよう。



入学式が始まって、しばらく。
式典ってなんでこんなに眠くなるんだろうか。入学式が始まる前は、生徒の人数がべらぼうに多いことや、教師と保護者で超満員の体育館に驚いていたから目は冴えていたが、入学式が始まると、だんだんと眠くなってきた。もう無理だ、寝ようと思い、姿勢を少し崩して目を閉じる。

「新入生代表挨拶。代表…、柳 蓮二」

眠る体制に入って、しばらくすると大きい拍手が起こった。さっきまでの拍手の大きさとは全然違う。あまりの音量にうつらうつらしていた頭が、だんだんと冴えてきた。少し気になったので、閉じていた目を開けて、ちらっと横の女の子を見たら、自分の手が真っ赤になるぐらい叩いていたから少し心配になった。
代表の挨拶がそんなに楽しみなのか?と疑問に思いながら視線を壇上に移す。と、顔が整った男の子が立っていた。細目で目が開いてるのかちょっとわからないけど、綺麗な顔立ちの子だ。なるほど、隣の子の気持ちが少しだけわかった。イケメンの登場が嬉しくてテンションが上がってしまったのだろう。
一人で納得していると壇上の子が少しだけ手をあげた。すると、ピタっと拍手がやんだ。
………なんだ、あの子。手を上げるだけで生徒を御するとか、ちょっと怖いんですけど。…イケメンって怖い。
そんな私の気持ちを余所に挨拶が始まった。挨拶自体もいい感じだったと思う。声とか。イケメンボイスだった。

「以上、新入生代表 柳 蓮二」

挨拶が終わると、またもや大きな拍手。今度は私も普通に拍手をしておいた(最初は寝ぼけて出来なかった)。それからは普通の式に戻り無事入学式が終了。イケメンが何かすると大盛り上がりになるんだなあ。

入学式が終わった後は、事前にわかっている自分のクラスに、地図を頼りに移動する。私のクラスは1-E。ちなみにマンモス校なのでIとかGまでクラスがあるらしい。多すぎだと思う。などと考えごとをしていると教室に到着。
うん、1-E。あってる。迷わず着けたことにホッとしながら教室に入った。

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