春うらら

□第三話
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高校生生活、早くも一週間が過ぎようとしている。ハナちゃんとは相変わらず良い関係でお昼ご飯を一緒に食べるほど仲良し。隣の席の柳生くん、後ろの席の佐竹くんとも挨拶をする程度には仲良くなった。

「次は待ちに待った選択授業!」
「…!…ハナちゃん…急に元気だね」

二限目の授業が終わってすぐ、ハナちゃんが急に振り返った。満面の笑みだ。可愛い。

「だって選択授業楽しみなんだもん」
「ハナちゃんは何にしたの?」
「美術!名無しちゃんは?」
「私は書道にしたよー」

選択授業とは週に一回、美術・書道・音楽の中のどれか一つを他のクラスの子と合同で授業を受けるというものだ。

「途中まで一緒に行こうよ」
「うん、行こう行こう!早く行こう!」

はしゃぐハナちゃんに急かされながら、それぞれの授業の用意を持って移動する。「習字道具って重そうなのばっかりだよね」とか「その絵の具セット年季はいってるね」とか話しつつ、途中の階段でハナちゃんと別れて(よほど楽しみな様で駆け足で階段を上がっていった)一階の書道の教室へ。

教室のドアを開けるとふわっと墨汁の匂いがした。この匂い結構好きなんだよね、と思いながらドアを閉める。
入ったは良いもののどこに座るのかわからず、きょろきょろしていると先生が「好きなところに座っていいですよ」と言ってくれたので、前よりの場所に着席。先生のお手本は近くで見る方が良い。
既に着席している子たちが習字道具を机に準備していたので私も習って準備にかかる。祖母が習字の先生で小さい時から教えてもらっているため、それなりに年季がはいってる道具を綺麗に並べて満足していると、横に誰かが座ったようだ。ちらり、と見てみてみると、大変厳しい顔付きの男の子が座っていた。

「……む、なんだ」
「いえ、何でもありません。失礼しました」

ガン見し過ぎたせいで気付かれてしまった。即座に謝り視線を戻す。
…怖い。目付きとか怖い。本当に同い年なのかと思うほどの厳しい顔付きも怖い。声もなんだか怖い。普通の高校生にしては渋すぎる。もはや男の子なんて呼べないよ。男性って感じだよ。とぐるぐる脳内で考えている間に、チャイムが鳴り授業が始まった。
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