春うらら

□第四話
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立海での初めてのテストとなる一学期の中間テストが終わり、自分のテスト結果・順位・教科別の学年の平均点などか書かれた用紙を、ホームルームの時間に配られたのだが、びっくりする結果だった。悪かったわけではない。各教科の学年の平均点が、私の各教科のテストの点数と全く同じだったのだ。
一つだけならまだしも…全教科平均点と同じ点数…!…なんだコレ!こんな偶然いらないよ!てか、外部受験生のくせに平均点しか取れないって全体的に残念すぎる…!

「あははは!名無しちゃんすごい!見事に平均点ばっかり!平均点女王だね!」
「ハナちゃん大声で言うのやめて。恥ずかしい」

わっと顔を隠す私の頭をパフパフ叩くハナちゃん。
くそう、別にいいじゃないか平均点バンザイだよ。平均点を笑うものは平均点に泣くぞ。狙っても平均点なんてなかなか取れないだろう!……てか、平均点ばっかりって面白いか?コレは…アレか。ハナちゃんは私をイジメて面白がってるだけか。ひどい。

「大岡さん。名無しのさんをイジメてはいけませんよ。…大丈夫です、名無しのさん。すべて平均点ということは赤点が一つもないということではないですか。勉強を人並みに頑張った証拠です」
「…柳生くん…」

フォローしてくれているのはわかるが、なせだろう。バカにされている気分だ。私の心が荒んでいるせいだろうか…。
こうやって私を慰めてくれる柳生くんは頭が良い(数学のテストは97点だった)。私より勉強量が少なくても良い点が取れるほど頭が良い。テスト前にほぼ毎日部活に行っていたというのに、私より遥かに良い点数を取っている。
なんでだ。頭の出来の違いか。と私がぶつぶつ言っていたら柳生くんがオロオロしていて面白かったので気持ちを切り換えることにした。

「ていうかそんなに笑うならハナちゃんのも見せてよ」
「……………」
「えっ。何その顔」

ハナちゃんが今までの笑顔から一転、遠い目をした。え、まさか…。

「…………赤点とっt「黙って」ゴメンナサイ」

どうやら赤点を取ってしまったらしい。英語の点数が良かった(93点)のは知ってるが、何が悪かったんだろうか。

「英語は良かったんだけど………がね…」
「え?」
「だから………がダメだったんだよ」
「え?」
「だから!………だって!」
「大岡さん、肝心の部分の声が小さすぎて聞こえません」
「………………」

そんなに普通のボリュームで言いたくないのか。
柳生くんを一瞥して黙り込んでしまった。…あー、これはハナちゃんの機嫌が戻るまで時間がかかりそうだな…。

「大岡。大丈夫だ。俺は赤点4つもあるぞ」
「「えっ」」
「佐竹くん…!君は仲間だ…!」

今まで黙って私達を見ていた佐竹くんの鶴の一声で、ハナちゃんの機嫌はあっという間にもとに戻った。赤点組が一人だけじゃなかったのが、よほど嬉しいらしい。
ていうか佐竹くん、初っぱなから4つも赤点はまずいんじゃ…。ていうかなぜそんなに平気な顔をしているのか…。大丈夫か佐竹くん。

この後チャイムが鳴り、ホームルーム終了となったが、佐竹くんを心配した柳生くんが追試まで勉強を見てあげると言っていた。ハナちゃんも便乗して教えてもらうようだ。
平均点女王の私はみんなが追試に受かるように神様にお祈りしようと思いつつ、トイレに行くため教室を出た。

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