春うらら

□第五話
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……完全に予想外の展開だ。どうしよう。見知らぬ不良と放課後にプリン食べに行くとか、一体なんなの。てか、赤髪さんは人見知りとかしないのか。そんなにバケツプリンアラモードが食べたいのか。気まずくね?初対面二人でプリンとか気まずくね?てか、今思ったけど、赤髪さん可愛らしい顔付きだな。可愛さとイケメンのコラボレーション。さぞかしモテるだろう。
とかなんとか、脳内では大会議が行われていたが、口が勝手に「いいっすよ」と言ってしまっていた。
…………断じて赤髪さんがイケメンだったからオッケーしたわけではない。私がノーと言えない日本人だっただけなんだ!だってあんな輝かしい笑顔向けられた断り辛いだろ!お楽しみ券を譲るぐらいなら一緒に行ったほうがマシだったんだよ!くそ、ついさっきまでご機嫌だったのに、なんか……切なくなってきた…。
テンション下がり気味の私を余所に赤髪さんはとても喜んでいた(「マジで?!サンキュー!今日甘いもんあんま食ってなくて死にそうだったんだよ!」)。

それから、笑顔満点の赤髪さんに急かされつつ、ケーキ屋に向かうことになった。テンションの低い私(なんだかドッと疲れた)とは裏腹に赤髪さんのテンションは高かった。

「いやー、俺甘いもんすっげー好きでさ!んで、プリンはこの店のプリンが一番好きなんだ!」
「…そうなんですか。楽しみですね」
「部活休み(本当は自主トレだけど)になってマジで良かったぜ!」
「……あはは、ラッキーでしたね…」

などと会話していたら、目的のケーキ屋さんに着いた。赤髪さんは小走りで店内に入っていった。
多少強引だし、ちょっと変わった人だけど、そんなに悪い人ではないだろう。いつまでもグズグズしてても仕方ない。開き直って赤髪さんとバケツプリン楽しもう。楽しまないと美味しくないし!よし、行くぞ!と気合いを入れ、私もケーキ屋さんのドアをくぐった。
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