春うらら

□第六話
2ページ/2ページ

「「………ごちそうさまでした!!」」

二人で無心で食べ続け、今完食した。
途中までたまに時計を見ながら食べていたが、徐々に余裕がなくなって見なくなったので時間以内に食べきれたのかわからない。ドキドキしながらウェイトレスのお姉さんの言葉を待つ。

「完食までにかかった時間…………29分35秒!よって今回の代金は無料にさせて頂きます」

「「…………やったああああ!!!」」

丸井さんと立ち上がってハイタッチをする。ヤバイ。凄い嬉しい。美味しいものを山盛り食べれた上にタダだなんて、こんなに良いことがあるのだろうか…!

「やったな!名無しの!」
「やりましたね!丸井さん!」

二人で喜びを分かち合っていると、お姉さんがカメラを持って近づいてきた。

「実は30分以内で完食された方の記念写真を撮らせて頂いているんです。写真は店内に展示する形になるのですが、撮影してもよろしいですか?」

記念写真?…そういえば店内のコルクボードに写真が飾ってある。なるほど、あそこに並べられるのか。
写真を撮るのは別に良いけど、丸井さんとのツーショットを飾られるのは嫌だな。だってその辺の女の子より可愛い顔してる男の子と平々凡々の女の子が並んだら、どっちが女の子かわからないだろう。嫌だ。そんな公開処刑受けたくない。


「すみませんがお断りs「撮ります!」…え、ちょ!」
「なんだよ。いいじゃんか写真くらい」
「嫌ですよ!女の子より可愛い顔した丸井さんと写る私の身にもなってくださいよ」
「………おい、人が気にしてることあっさり言ってんじゃねーよ!てか、好きで女顔なわけじゃねーし!」

おおぅ…丸井さんの地雷を踏んでしまったようだ…。気にしてたのか…女顔。

「絶対写真撮るぞ!なんなら写メも撮って待ち受けにしてやる!」
「ちょ!待ち受けとか本当無理ですって!辛いです!私が!」
「女顔って言ったやつがワリィんだよ!諦めろぃ!」

えー…!……とんだジャイアンだな、丸井さん。

その後、私がいくら謝っても許してくれなかったので写真(と写メ)を撮る羽目になった。
笑顔満点の丸井さんの横で、ひきつった笑顔の私が写った写真は、お店のコルクボードと丸井さんの携帯、そしてなぜか私の携帯(待ち受け設定にされた)にまで残っている。
辛い…。もう丸井さんを怒らせないようにしようと思った。


機嫌が直った丸井さんと携帯のアドレスを交換し(「お菓子の情報交換しようぜ!」「それいいですね!」)ケーキ屋さんを出た。
お互い帰る方向が違うのでお店の前で挨拶をし、解散。
あー…、今日は晩御飯少な目にしよう、体重計に乗るのが怖い。などと思いつつ、家に帰った。
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ