春うらら

□第七話
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冬から夏へシフトチェンジした制服に袖を通す。
最近暑くなってきたので夏服に替えたのだが、着る度にダサイなと思ってしまう。冬服もダサイと思ったが夏服はもっとダサイ。
そんなダサイ夏服を、オシャレが大好きな女の子たち(ハナちゃん含む)は制服を改造したり自分なりにアレンジして、可愛く着こなしている。
私もその輪に加わりたいが、如何せんセンスがない。センス皆無な私に、改造した制服など着こなせるはずがないので、今日も大人しく普通にダサイ制服を着る。


台所でおにぎり(具は昆布と鮭)を握っていると携帯が鳴った。登校時間前なのに誰だろうと思いつつ、携帯を見るとハナちゃんからのメールだった。

『タレコミ情報!校門で風紀委員が抜き打ち服装検査してるらしい。私の制服ヤバイと思う?』

抜き打ち検査か、風紀委員って大変だな。と思いながら、ポチポチと返事を打つ。

『いつも通りに着たらバレるかも。検査の時だけダサく着て、速足で通り抜ければ大丈夫じゃない?』

これでよし、返信完了。私もそろそろ学校に行こう。おにぎりをお弁当袋に入れて戸締りをして、家を出る。
すると家の前でハナちゃんとばったり会った。

「あ、おはよー。………あんまり変わってないね」
「…はよ。頑張ったんだけど、あんま変化なかった…。あー、怒られるかなあ…」

ダサく着ようとしたが、制服自体を改造してしまっているので無理だったようだ。

「てか、そんなにガッツリ怒られるもんなの?」
「いや、風紀委員の子にチェックされて反省文書かされるだけなんだけど、チェックの時に説教してくる風紀委員がいてさ。それがね…」
「説教か……それは辛いなあ」

先生に説教されるのも嫌だけど、生徒同士なのに説教されるのも辛いものがある。

「説教する人、避けて通れば大丈夫だって」
「そうだよね!柳生くんと真田くんに捕まらないように頑張る」
「……(説教が似合う二人だな)」
「ね、検査んとこ通り抜けるまで盾にしてもいい?」
「ん、いいよー」
「ありがと!バレなかったらジュース奢る」
「マジか!」

なんて言いながら歩いていると、校門が見えたきた。校門から左右に別れてズラリと風紀委員が並んでいる。
なんか人多くないか?風紀委員全員集合?…いや、制服の形が若干違う子がちらほらいるな…。

「あー、中学生との合同検査じゃん」
「へー。一緒にやるなんて、さすが一貫校って感じだね」
「同じ校門から入ってくるんだし一緒にとっちめてやろうぜ!ヘッヘッヘッって感じ」
「………風紀委員会のこと悪の組織と勘違いしてない?」
「私のオシャレを邪魔するヤツは悪だ!」
「……ハナちゃん…大きい声出したら目立つから…」

今から風紀委員の関門を突破しようと言うのに大きい声を出すハナちゃんを諌めて、校門をくぐる。
ハナちゃんはコソコソと、私は堂々と歩いていると近くから大きな怒鳴り声が聞こえてきた。
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