春うらら

□第十話
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目の前をすごいスピードで走り去る丸井さん。ボー然と見送る私。
丸井さんのゼッケンに『テニス部』とバッチリ書いてあった。マジか…全然知らなかった…そういえば、いつぞや柳くんが「うちの部員が〜」って言ってたっけ。うわ、なんで今まで気が付かなかったのだろう。

自分の馬鹿さ加減にげんなりしている間に、丸井さんは次の走者のジャッカルさんにバトンを渡していた。
…………そうだよね。丸井さんがテニス部ならジャッカルさんもテニス部だよね。
若干訳のわからない納得の仕方をしつつ、ジャッカルさんの走りを見る。すっごい速い。他の人たちを5mくらい引き離しジャッカルさんがアンカーの人にバトンを渡した。
………………ん?あのアンカーの人……………真田くん?え?!真田くん?!テニス部なの?!剣道部じゃないの?!
丸井さんの時より衝撃を受ける。だって、真田くんだよ?あの古風な真田くんだよ?剣道部とか和風な部活だと勝手に思ってた。すっごい意外だ。
そして真田くんも当たり前のように速い。笑えるくらい速い。あのスピードで動いてなぜ帽子がずれないのか教えてほしい。

結局テニス部は、最初から最後まで一位のままでゴールした。テニス部がゴールした時の女の子の歓声が凄かった。アイドルのコンサートばりの歓声だった。
私が色々な驚きのあまりボンヤリしているとハナちゃんが話しかけてきた。

「名無しちゃん?どうしたの?」
「…いや、ビックリして…」
「あはは、歓声凄かったもんね」
「あはは…」

歓声だけじゃなく、真田くんがテニス部だったことに驚きを隠せない。丸井さんとジャッカルさんは「へー、そうだったんだ。気付かなかった」程度なんだけど…真田くんがね…。
ずっと剣道部だと思ってたし、剣道部ほど彼にピッタリな部活は無いと思っていたから本当にビックリした。やっぱり人は見かけによらないなあ。


体育祭が終わり、クラスの体育祭お疲れ様会に参加するため一度帰宅し私服に着替える。
打ち上げ楽しみだなあ。それにしても意外な発見連続の体育祭だったなあ。などと考えながら、家を出た。
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