春うらら

□第十七話
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『私がもらったプレゼントあげましょうか?あの高級ティッシュの鼻セレブですよ』

プレゼント交換でもらった鼻セレブ。他のティッシュに比べるとお肌にとっても優しい。とても素晴らしいティッシュなのだが仁王さんの反応はイマイチだった。

『ソレはいらん。でも名無しちゃんからプレゼントは欲しいナリ(´∀`)』

えー………。プレゼントをねだられてしまった。私が仁王くんにあげる義理はないのだが、そんなことを言ったら彼がウザk……拗ねるので『安いものなら。500円以内で。』と返信した。すると、『タダで欲しいもんがあるんじゃ(*ノωノ)』ときた。
タダ…!素晴らしい。安いに越したことはない。すぐさま『なんですか?』と返す。またすぐに返信がきた。

『タメ口(´∀`)』
『は?』
『タメ口で話してくんしゃい(´∀`)』

思わず「は?」と口に出してしまった。横にいる女の子に「どうしたの?」と聞かれたしまったので「ううん、なんでもないアハハ」と返事をする。
うーん。変なものを要求されてしまった。仁王さんは丸井さんと同様で敬語の方が話しやすいんだけどなあ。とりあえず理由を聞いてみよう。

『え、なんでですか?』
『同い年なんに敬語とかおかしいじゃろ?それにブンちゃんに敬語で俺にタメ口だったら、絶対ブンちゃん悔しがるぜよ(´∀`)』

なるほど。どうやら丸井さんを悔しがらせたいらしい。私がタメ口かどうかで悔しがるとは思えないが、まぁ良い。仁王さんの要望に答えましょう。

『わかりました、いいですよ。今度からタメ口頑張ります』
『☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆』

………うん。嬉しそうで何よりです。

そのあと更に追加注文がきて『仁王さんじゃなくて、まーくんって呼んでほしいナリ』『いや、それはお断りします』『んじゃ、仁王くん!』『じゃ、来年のクリスマスにプレゼントとして仁王くん呼びにします』『名無しちゃんヒドイ』とか言われてしまった。私はヒドくない。仁王さんの注文が多いだけだ。

だんだん面倒になってきたのでメールをブチることにした。といってもパーティーが終わるまでだけど。きちんとメールを返さないと『怒ってる?』とか気にするから。
仁王さんはとっても乙女チックなので邪険にしづらい。メールアドレスを交換し始めた時に数回連続でブチッたら悲しそうな声で電話がかかってきたこともある(「なんでブチるん?」「え…すみません」)。クールなタイプかと思っていたので驚いた。丸井さんなんていくらブチっても気にせずバンバン送ってくるのに。仁王さんは丸井さんの図太さを見習うべきだと思う。………いや、仁王さんも図太いところは図太いか。

携帯を閉じてジュースを飲んでいると隣の女の子に「彼氏からメール?」と聞かれてしまった。彼氏がいたら今日のクリスマスパーティーに集まってませんよ。

「違う違う。クリスマスに一人寂しく過ごす友達からだよ」
「アハハ!じゃぁ、その子も呼んであげれば良かったねー」
「アハハそうだねー」

優しい女の子だ。と感心していたら幹事の男の子が「そろそろパーティーはお開きでーす」と皆に声をかけていた。
楽しかったねー、とか、来年こそは彼女と過ごすぞー、とかみんなでワイワイ騒ぎながら帰宅。
あー、本当に楽しかった。これでサンタさんにプレゼントを貰えたら言うことないのだが、高校生だから諦めよう。サンタさんからプレゼントを貰えるのは中学生までだ。

仁王さんに返信を打って(『ただいま帰宅しました。おやすみなさい』)ベッドにダイブ。あー、湯たんぽポカポカ。気持いい。と思いつつ眠りについた。
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