春うらら

□第二十四話
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3月も半分が過ぎ、学校も春休みに入ったので毎日お昼近くまで睡眠を貪る自堕落な生活を送っている。
冬休みの時もそうだったけど、食っちゃ寝ばかりしてるこんな生活じゃ太る一方だな。散歩とかした方が良いかも。と思いつつ、朝ご飯兼お昼ご飯を食べてダラダラとテレビを見ていたら携帯が鳴った。メールボックスを開くと仁王さんからメールが届いている。

『名無しちゃん今日暇?(´∀`)』

特に予定もないので『ひまだよー』と返信。すると『バレンタインデーのお返し買ってきたぜよ』といちご大福の写メ付で返事が返ってきた。
おー…!これが富士乃屋のいちご大福…!早く食べたい!と、はやる気持ちを抑えながら返信を打つ。


何通かのメールのやり取りの末、今日の夕方に学校まで取りに行くことに決まった。楽しみすぎる。早く夕方にならないかなあ。なんて考えながらダラダラと過ごしていると、あっという間に夕方になったので、いそいそと出掛ける準備をする。
スキニージーンズにシャツ、それにまだ肌寒いので春らしい色のニットを着て、財布やら携帯やら生徒手帳やらが入った鞄を持って、足元は踵がぺたんこのパンプス。
この前ハナちゃんと買い物にいってコーディネートしてもらった服だから、おかしくないはずだ。本当はスウェットで出掛けたいところなのだが、女の子としてそれは駄目だと思うので一応着替えたのだ。
化粧は面倒なので無し。髪の毛は適当に整えて準備完了。よし、これで良いだろう。と最後に鏡でチェックをして家を出た。


校門の横にある守衛室で生徒手帳を提示してから、校門をくぐる。
私立の学校なのでセキュリティが厳しく、制服や部活のユニフォーム以外で校内に入る時は守衛さんに生徒手帳を見せなければいけないシステムなのだ。
いっそのこと制服で来れば良かったかなと思いながらテニスコートへ向かう。

もう部活は終わってるのだろうか。一度電話してみたほうが良いか?と思いながら歩いていると数メートル前に柳生くんがいるのが目に入った。
柳生くんがここにいるってことは……部活終わったのかな?いや、何か用事があってテニスコートから離れてるだけかもしれないし、ちょっと声かけてみよう。

「おーい!柳生くーん!」
「……!…………あぁ、名無しのさんですか」

やたらビクッとしながら立ち止まり振り返る柳生くん。
急に声をかけたせいでビックリされてしまったようだ。申し訳ない。と思いつつ、柳生くんに駆け寄る。

「ごめんね。ビックリさせちゃって」
「…いえ、大丈夫ですよ。ところで名無しのさんはなぜ学校に?」
「友達とテニスコートの辺りで落ち合う約束してて…」
「あぁ、なるほど」

なんて話しながら柳生くんと並んで歩きながらテニスコートへ向かう。
……………うーん。私の気のせいかもしれないんだけど、今日の柳生くん何かいつもと違う気がする。さっきから話してて若干違和感があるんだよね…。何が違うだろ…?

「…柳生くん身長伸びた?」
「いえ、春休み前と変わらないと思いますが…」
「じゃ、やせた?」
「いえ、体重も変わっていません」
「んー、髪の毛切った?」
「切ってません」
「………メガネ変えた?」
「変えていませんよ。………どうしたんです?さっきから」

柳生くんに怪訝な顔をされてしまった。
怒らせてしまっただろうか。何も変わってないのに何度も変わった?って質問されたら嫌だよね。
ごめんね、と謝りながら「なんか柳生くんがいつもと違うような気がして……」と笑いながら言うと、柳生くんが黙り込んでガン見してきた。
……え。何かマズイこと言った?ガン見されるようなこと言ったか?と思っていると、柳生くんの後ろから人が近付いてくるのが見えた。
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