庭球のお話

□SとMの話
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「好きじゃ」
「え。あ、うん、ありがとう」

ありがとうってなに。ソレはどういう意味なんじゃって聞ければ良かったけど、彼女の冷めた目を見たら(彼女はいつも冷めた目をしている)何も言えなくなって、バイバイしたあの日の俺のバカ。




「あ。明日うちおいでよ」
「え」
「この前言ってたDVD見つけたから借りたの。一緒に観よう」

ズズ、と音を立ててバナナオレの飲む彼女。
え、うち来てってソレはどういう意味?ちゅーか俺らは付き合っとんの?うち行っていい間柄なんか?家=セックスの発想なんじゃけど?年頃の男の子じゃし。当然の発想じゃろ。あぁ、セックスとか考えたらバナナオレのパッケージのバナナすらエロく見えてきた。

「う、うち行っていいんか…?」
「駄目だったら誘わないっしょ」

うん、冷たい目。クールビューティー。あんまそんな目で見んで欲しい。勃ちそう。名無しちゃんを好きになってから俺のドM具合は酷くなる一方じゃ。

「じゃ、明日ね。昼ぐらいに来てよ」
「わかったナリ」
「んじゃ、私帰るわ」
「あ、送るぜよ」
「いいよ、今から部活でしょ?頑張って」

ヒラリとスカートをひるがえして帰る彼女。
うっわ、いま太もも見えた。貴重。舐めたい。ペロペロしたい。太ももだけじゃなくて全身ペロペロしたいけど。舌が疲れるまでペロペロしたいけど。俺ってばなんて変態。

「やぎゅ」
「はい?」
「俺って変態じゃったっけ?」
「えぇ、そうですよ」

たまたま通りかかった柳生に聞いたら辛辣な答えが返ってきたけど、俺の息子は無反応。そりゃそうか。彼女に変態って言われたならまだしも、柳生なんかに言われても意味がない。
脳みその中で彼女が冷たい目をしながら「ヘンタイ」と言ってくるのを考えてゾクゾクした。あぁ、良かった。俺は名無しちゃん専用の変態でドM。しあわせ。

「半勃ちのところ申し訳ありませんが、練習して頂けますか」
「うん、オッケー」

ラケットを肩に乗せて、いざコートへ。早く明日になればいい。




で、迎えた次の日。昨日、チラ見えした太ももをおかずに数回オナニーして寝てしまったが為に、大事なことを確認するのを忘れていた。

俺って名無しちゃんと付き合っとんの?

え、コレ確認してないってヤバいんじゃ…?告白して、返事はありがとうで、それから特にいつも通りに接してて……ってこれは一体なんなん?え、俺名無しちゃんとまだ付き合っとらんよな?付き合っとらんのに家行けんの?いいの?ヤれんの?一応ゴム一箱持ってきたけど。
考えているうちに彼女のうちへ到着。チャイムを押すとすぐにドアが開いた。

「どぞー。入って」
「えっ!?」
「? なに?」

何ってソレはこっちのセリフ!その格好!キャミソールで胸元全開じゃし(谷間!谷間!意外におっぱい大きい!)、タオル地のホットパンツから伸びる太もも!(昨日見たものとは比べものにならない!)頭にはタオルまいとるけど、タオルから漏れた髪の毛がうなじに残っててちょーセクシー!(ペロペロしたい!)ちょっと待って、俺そんなん見せられたら玄関先ですでに半勃ちなんですけど!

「あぁ、この格好?」
「え」
「ごめんごめん。お風呂入っててバタバタしてた」
「お、お風呂…」
「うん。私、朝風呂派なの」
「へー…」
「ま、どうぞ」

ドアを大きく開いて迎えてくれたから慌てて入る。
じゃって、早く入らんと外のヤツらに名無しちゃんのセクシーショットを披露することになる。そんなん嫌。見るな。俺の名無しちゃんじゃから見んで。あ、でも、俺が名無しちゃんに攻められるところじゃったら見てイイぜよ、興奮する。

「ちょっと着替えてくるから座ってて」
「うん」
「後でお茶出すね。ごめん」

彼女の後ろ姿を必死に目に焼き付ける。今日のおかずは決まった。うなじとおっぱいと足。なんというご馳走。昨日よりいっぱい出そうな予感。
邪なことを考えながらソファに座ってリビングをキョロキョロ。人の気配がしない。というか、リビングに通されたということは今日誰もいない系?………ヤれんの?今日ヤれんの?襲っていいの?あの格好とか名無しちゃんからのセックスオッケーのサインじゃったりして。何ソレ可愛い。ヤりたい。触りたい。ペロペロしたい。触ってもらいたい。踏んでもらいたい。あ、いかんフル勃起。

「麦茶と、コーヒーと、オレンジジュース、どれがいい?」
「え、む、麦茶」
「わかっ………………」
「えっ。なに」

俺の方を見てフリーズした彼女。視線の先にはズボンにテントが張っていた。

「あ!いや、ちがっ、名無しちゃ、コレは!」
「いや、うん。男の子だもんね。あはは、大丈夫。お茶持ってくるまでに治してて」

相変わらずの冷めた目でそう言われてイきそうになった俺は相当の変態。トイレで一発抜いてやろうか。ちゅーか、昨日あんな抜いたんにまだ出るんか。さすが俺。あー、いかん。静まれ、静まりたまえ我が息子よ。ヒッヒッフーヒッヒッフー。ってコレはむしろ出す時の呼吸じゃろうが。と、くだらんことを考えたら息子は俯いていた。

「お茶と、コレ食べる?」
「わ、スイカ」
「うん」

甘いよ、と言いながら俺の隣に腰掛けた彼女。ふわっとシャンプーの匂いがして再び息子が天を見上げようとするので必死で我慢しながら、スイカをかぷり。

「ん。甘い」
「でしょ?」
「ん」
「………あー、ていうかさ、」
「?」
「私ちゃんとしてなかったよね、返事」

何の、と言おうとしたが、脳裏に『告白』の文字が過ぎって言葉を飲み込む。彼女はスイカを見つめたままで、明るい表情でもなければ、照れた表情でもない。
コレはもしや……フられるパターン?うっそ、ここまで来て?もう名無しちゃんってばなんてドS。散々期待させて、あんな格好で興奮させといて、お預けどころか拒否ですか?いくらドMの俺でも耐えられん。死ねる。まぁ、勝手に俺が興奮して勝手に期待しただけじゃけどな。

「う、うん。聞いとらん、けど、」
「じゃぁ、」
「いっ、いや!言わんで!」
「はぁ?」

目も口も顔も歪めてこっちをみる彼女。でも俺の息子は無反応。そりゃそうか。だって

「俺のことフるもん!」
「は…?」
「そんな顔しとる!」

いやじゃ、と叫んだら涙が出てきた。いくらドMの俺でも好きな子に気持ちを拒否されたら死にたくなる。
ぐしっと目を擦って彼女を見たら、肘掛けに腕をついて呆れた顔をしていて、息子が少し反応した。

「なに一人で結論出してんのバカなの」
「ばっ」
「ていうかねぇ」

ドンと肩を蹴られて彼女とは反対側の肘掛けにもたれる。肩に乗ったままの彼女の足が綺麗で舐めたい衝動にかられた。

「私は好きでもない男をうちに呼ばないし、二人っきりなんかにならない」
「!」
「わかった?」

ニッと笑って肩を強く踏みつけてくる彼女に、息子が盛大に反応してフル勃起カムバック。

「うわ、なんで勃った」
「じゃ、じゃって名無しちゃんが可愛いから」
「は?どこが」
「うっ。その顔やめて。イきそう」
「この変態が!」
「…あ」

ちょっと出ちゃった。まだフル勃起じゃけど。
名無しちゃんにほんまに俺のこと好き?と聞くと、好きだよ変態、と返されてキュン死にするかと思った。今日セックスしていい?って聞いたら、一人でしてな見ててあげる、といつもの冷めた目で言われてパンツがぐちょぐちょになるところだった。



エンド!

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