短編

□少女と(不)愉快な世界環境
2ページ/2ページ

『少女と(不)愉快な世界環境』

それはいつか何処かの最初の話。私はあるゲームにはまっていた。
それは、何万人のユーザーと闘い、自分のアバターを育て上げて、神様と成るだけのオンラインゲーム。
私はあと少しで女神に成ろうとしていた。

私は本名の金衣 古芽音(カナイノ コガネ)っていう名前をもじって黄金と言うアバターをつくって参加していた。
私は今の世界環境が嫌いで、不愉快だった。私と言う異端をことごとく排除しようとするので、私は部屋に閉じ籠った。
そして、このゲームにはまってリアルから遠ざけた。電子の世界は私に仲間をつくり、闘いを求めた。世界環境が変わった気がした。

でも、あんまり楽しくない。世界環境は不愉快なまま、私はのしあがり神様に成った。
神様に成った私は白い光を浴びて現実から消えた。世界を見守る立場に成ったんだけど、世界はやっぱり不愉快だった。

なんで平和を望んでいるのに、争いが起こる?なんで平等をうたうのに、差別は起こる?なんでこんなに世界は汚いのだろう。
私は白い世界でそれを見ていた。すると透明な神様が私に言うのだ。

「あなたがこの世界の神様と成るのです。」

こんなに汚れている世界を私にどうしろっていうのだろう?
あぁ、不愉快だけど愉快な気持ち。
私がさ、神様に成ったっていうなら、この世界を壊して新しい世界をつくってしまえばいい。

私は知りたくなった。世界の終幕を、個人の世界を知りたくなった。
だから私は世界に手紙を送ろう。
いつかきっと心の何処かで望んだ答えを求めて…。

「あなたの世界の終わりはなんですか?」

でも、彼女は知らない。この世界は彼女のせいでループすることを、彼女の手紙がすり変わることを、彼女のせいで世界が擦りきれることを、彼女は知らない。

「あなたは世界の終幕を望みますか?」

黄金なる者は、
彼女はまだ知らない。
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ