短編

□俺の支えは君だ。
2ページ/4ページ



チュンチュン、と鳥の鳴き声が外でする

「ん…眠い」

目が覚めた朝日は起き上がった
まだ眠いのか自然と欠伸が出る
ふと横を見ると千智が居ない

「もう起きたのか、千智のやつ」

ガチャっ

「あ、起きてる
朝日さんおはよー!
ご飯出来てるよ」

淡いピンク色のエプロンをした千智がお玉を持ったまま朝日を起こしに来たようだ

「良く起きれたな」

朝日はまだ寝たくて仕方がない様子で千智を見る

「規則正しい生活しなきゃ体壊れますもん」

「夜中あんなに激しくしたのに腰大丈夫なのか?」

「なっ…」

朝日の問いに千智は顔を真っ赤にし金魚みたいに口をパクパクさせた
そんな千智の姿に朝日はクスクス笑っている

「っもう知らないんだから」

千智は顔を真っ赤にしたまま寝室のドアを思い切りバタンっと閉めキッチンへ戻って行った

「可愛いやつ」

千智が出て行ったドアを眺めながら朝日は呟いた

リビングへ行くと、テーブルには朝食が並べられていて千智はもう自分の席に座っていた
今日のメニューは目玉焼き、赤ウィンナー、ポテトサラダ、白米、味噌汁と言った所だ
朝日も席へ座った

「いただきます」

2人が手を合わせて同時に言った
朝日は味噌汁を、一口飲んだ

「うん、美味い」

朝日のその言葉を聞き千智は嬉しそうな顔をする

「今日の味噌汁はね、ニラと卵なの」

「へぇ、やっぱり朝は味噌汁に限るな」

2人の朝はこんな感じでゆったりのんびり会話をしながらご飯を楽しむ

「そうだ、今日は休みだから何処かに行こうか」

「本当にっ?」

目を輝かせる千智

「あぁ、何処に行きたい?」

そんな千智が可愛くて愛しくて仕方がない朝日

「久し振りに遊園地に行きたい!」

「よし、じゃあご飯を済ませたら支度をして遊園地に行こう」

「えへへ、朝日さん大好き」

「俺も千智が大好きだ」

お互いどちらからと言う訳でもなく微笑んだ



朝食を終え朝日はリビングのソファーへ座りコーヒーを飲み一服していた
千智は洗い物を終え部屋で着替えをしている
千智が自室へ行って、かれこれ二十分は経っているだろうか

「女ってのは支度に時間が掛かる生き物だな、本当に」

朝日はコーヒーを飲み干し新聞を読み始めようとした時だ

「朝日さん、準備出来たよ!」

そんな事がドアの方からした
朝日は声のしたドアの方にくるっと首だけ回した

「…」

朝日はただただ千智を見つめていた

「?おかしい…かな」

「いや今日も可愛いよ」

千智はぽぉっと頬が赤くなった

「何赤くなってるんだ、千智」

頬を赤く染めた千智に朝日はわざと言う

「あ、朝日さんが変な事言うから」

「変?俺は本心を言ったまでだ
さて行くか、遊園地」


マンションの駐車場に停めてある車に乗り込み遊園地へ向かう道中
遊園地に行ったら何にまず乗ろうかとかお化け屋敷は絶対に嫌だとかそんな会話をしていた2人

朝日が仕事で忙しかった為、こうしてゆっくり2人で何処かに行くのは久し振りで千智はこれでもかと言うくらいはしゃいでいる
そんな千智を見ている朝日も顔にはあまり出していないが内心嬉しくて仕方がない
2人でゆっくりする時間が中々とれないからこそ、とれた時は千智と沢山同じ時間を過ごしていたいと朝日はいつも思っている

「あっ、観覧車!」

遊園地専用駐車場へ向かうと目と鼻の先に大きな観覧車が見えた
車を停めると直ぐ様、千智はシートベルトを外し車から降りた
千智の後を追う様に朝日も車から降りる

「朝日さん早くーっ」

あれよあれよと千智は遊園地の受付場所に居て此方に手を振っている
朝日は千智のはしゃぐ姿に思わず笑ってしまった

「あぁ、今行く!」

駆け足で千智の元まで行き受付を済ませ、入り口から遊園地内へ入った
休日と言う事もあり遊園地内は混雑していた

「人が多いな」

「やっぱり人気なんだねー遊園地」

朝日は千智の手を握った

「離れないように、な」

朝日の言葉にうんっと千智は頷いて手を握り返した

「千智、まずは何に乗るんだ?」

「うーん」

朝日の問いに千智は悩む
道中でも最初に何に乗るか決まらなかった
が、さすがにもう決まっただろうと思っていた朝日の考えは外れていたようだ

「ならお化け屋敷に…」

「それは嫌!」

千智は素早く拒否をした
どうやら千智はお化け屋敷が相当嫌いなようだ
朝日的にはお化け屋敷内できゃあきゃあ喚く姿が見たい訳だが千智の断固とした表情を見るとどうにも今、お化け屋敷に連れて行く事は難しい

「決めた、朝日さんあれに乗ろうっ」

千智が指差したのはジェットコースター

「最初にジェットコースターとは中々定番な選択だな」

クスっと朝日は笑った

「だって思い付かなかったんだもーん」

「さて、じゃあジェットコースターに行くか」

「うん!」

ジェットコースターの所まで来てみると列の最後尾に並んだ
待っている間、次に乗る物をマップを見つめながらああでもないこうでもないと千智は1人ぶつぶつ言っている
それを隣で微笑みながら見ている朝日

「お待たせしましたーっ
では此方へお入り下さーい!」

係員の声がして朝日達の前の人達がぞろぞろ動き始めた

「はい、じゃあここで一度列切りまーす」

朝日の前に並んでいた人で一度にジェットコースターに乗れる人数に達したようで朝日達が乗れるのは次になる

「もう少しで乗れるな」

千智の方をふと見ると微かに目がびくついている

「もしかして怖くなってきたのか?」

朝日は千智に問いかける

「ち、違うよ
ちょっと緊張してるだけだよっ」

千智は動揺しながら朝日にそう言った

「緊張する事じゃないだろ」

プっと朝日は少し吹き出してしまった

「笑わないでよー朝日さん!」

そんなやり取りをしている内にジェットコースターが一周したようで係員の声がした
朝日達は係員に従い案内された席へ座った
朝日はジェットコースターと言えば一番前の席が醍醐味だ、と言い千智と一緒に一番前の席に座った
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ