鎖鎌の章
□花を買う
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今までひとりの買い物が、こんなにも侘しいと思ったことはなかった。
いつの間にか、隣にいるのが当たり前になっていたお前。
「ナギ、これなぁに?」
「どうやって食べるの?」
「うわぁ、綺麗!」
「見て!見て!可愛いーっ」
お前はいつだって、くるくると表情を変えながら、俺に話しかけてくる。
俺はその度に、教えたり、説明したり、笑ったり、驚いたりしてるんだ。
こんな自分がいたことに戸惑いながら。
帰り道、花屋に寄った。
知ってる花なんか少ねーから、俺は無言で薔薇を指差す。
急いでお前の元へ帰ろう。
お前がいねーと・・・寂しいんだよ。
早く元気になってくれ。頼む。
by西月さん(Triangle again)
end