豪円♀小説手帳

□おかえり
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「さあーーー、両チーム入場いたしましたーーー!!」
角馬の実況がスタジアムに響く。
雷門イレブンと聖堂山イレブンは観客の拍手を聞きながら入場すると、それぞれの監督の周りに集まり、指示を待った。
円堂はぐるりと雷門イレブンの顔を見渡した。
雷門イレブンの表情は不安に満ちており、本当に勝てるか、本当に大丈夫か、本当にサッカーを取り戻せるかという思いがビシビシと円堂に伝わってきた。
円堂はそれを見て十年前の自分たち、FFI決勝戦のときの自分たちを思い出した。
あの時の自分たちも今ここにいる天馬たちのように、不安で仕方がなかった。
円堂は懐かしく思いながらそれを思い出すと、笑って、
「楽しんで来い。」
ただそれだけを言った。
あの時、久遠監督はそう言って自分たちの不安を拭ってくれた。
今度は自分が言って、天馬たちを安心させる番だと、円堂は感じたのだ。
天馬たちは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに笑顔になり、
「「「「「はいっ!!」」」」」
と元気よく返事をした。
円堂は満足そうに頷くと、FFI決勝で最後に虎丸とともに一緒に決勝点を決めた自分の恋人、豪炎寺修也の名前を心の中で呼んだ。
(豪炎寺……。)
円堂は聖堂山のベンチにいる豪炎寺にひたと視線を見据えた。
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