豪円♀小説手帳

□相合い傘
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「ふう…。」
円堂はため息をついた。
突然の大雨でユニフォームはびしょびしょに濡れてしまった。
(そういえば、今朝の天気予報で降水確率70%って言ってたな…。)
ユニフォームの袖を絞りながらぼんやりとそんなことを思った。
この分じゃとうぶん止みそうもない。
円堂は少し悩んだあと、やがて意を決したように再び頭の上にカバンを掲げると、雨の中に飛びだそうとした。が、

ガシッ

何者かに引き留められた。
驚いて振り返ると、豪炎寺が立っていた。
「しゅ、修也!?」
「ここにいたのか…。」
豪炎寺が息を切らせながら言った。
「どうしてここに?」
円堂は豪炎寺に向き直って問うた。
息を整えると、豪炎寺は言った。
「さっき用事を思い出してお前の家に行ったら、まだ帰って来ていないと聞いてな。こんな雨だったし、探しに来たんだ。」
「えぇ!?ご、ごめん!!」
円堂は慌てて謝った。
それを見て豪炎寺は笑って言った。
「気にするな、守。将来の妻を迎えに行くのは、夫として当たり前だ。」
円堂は一瞬キョトンとしたが、次の瞬間にはボンッと赤くなった。
「修也///」
豪炎寺はそんな円堂を見てクスリと笑うと手を差し出して言った。
「帰るぞ、守。」
「お、おう!!」
円堂はツインテールの髪を跳ねさせながらその手を握った。


相合い傘、繋がれた手


雨で寒かったはずなのに、どうしょうもなく熱かった。
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