BASARA 短編

□忍ぶ心
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―――――――――タン、タンッ



「ふぅ…」

「お!相変わらずやるねぇ舞月。」

「あ!猿飛さん!」

「おいおい…佐助でいいって言ってるでしょ」

「いえ、先輩にそのような呼び方は…!」

「そんなもん?」     「はい。」

武田家の忍である猿飛佐助と舞月。

ここはその忍の為の訓練場。

「お前、いつもここにいない?」

「え?はい…。こうやって、一人静かに的を狙うのが好きなので」

「おっと。なら俺様は邪魔だったな」

「いえ!そういう訳では…!」

「じゃ!お邪魔しましたー♪」

「あ…」

いつもそうだ。口下手で、言葉数の少ない彼女はいつも人を傷つける。

「…まただ。」

こんな彼女にも佐助は優しく話しかける。

「本当、いい人なのに…」

「あの!」

「はっはい!」

後ろを振り向くと立っていたのは若き虎、真田幸村。

「だっ旦那さん!何故ここに…?」

「いや、佐助を探していてな。何処にいるか知らないか?」

「はい。探してきますッ」

「よろしく頼む。」

サッと消える幸村に一礼し瞬時に消える。

彼女は17歳という若さで名の知れた忍で、他の国主からもオファーが来るほどだった。





   ***
「猿飛さん…何処ですか…?」

「ここだよ?」       「キャア!」         「あ!おい!」

突如現れた佐助に驚き足を滑らせた。

「スミマセン…」

「まったく…俺様はキャッチしてなかったら怪我してたでしょー?」

「あ!?下ろしてください!もう大丈夫です!」

「そぉ?」

「すみません…」

「で?何か用?」

「はい!旦那さんが呼んでました。訓練場に行ってください。」

「えー…今じゃなきゃ駄目?」

「た、多分…」

「俺様親方の命令で薪を運んでる最中なのにさぁ…まったく忍使い荒い…」

「薪なら、私が運びますよ」    「本当!?」      「はい」

「サンキュー。じゃ、俺様の後ろ着いて来てね」

自分の持っていた薪を半分渡し、訓練場へ向かう。





   ***
「ほい!俺様登場!」

「おぉ!来たか佐助!」

「何よ旦那。用って」

「あぁ。独眼竜の所まで使いを頼みたい。」

「えぇ〜!?嫌だなー。あそこ全然歓迎してくれないんだもん!」

「それは佐助が無礼を働くからだろう」

「そんなぁ…。あ!じゃぁ旦那!舞月も連れて行っていい?」

「えっ!?」      「別に構わないが」

「えぇ!?」      「よし!決まり!」





   ***
「ちょっ…!猿飛さん、何故私まで…」

「さっき俺様の存在に気づかなかったでしょ。その罰。」

「でも…」

「シッー!静かに。奥州の旦那も女の子が来れば優しくなるかもしれないしね」

「Ah?誰が優しくなるって?」

「だから独眼竜の―――・・・」

「猿飛さんッ!」

佐助の顔がこわばったのをみて、とっさにクナイを飛ばす。

「Shit…!?何だコイツ!」

「あ!舞月!この人が独眼竜だから!攻撃やめッ!」

「ふぇ!?」
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