BASARA 短編
□忍ぶ心
1ページ/3ページ
―――――――――タン、タンッ
「ふぅ…」
「お!相変わらずやるねぇ舞月。」
「あ!猿飛さん!」
「おいおい…佐助でいいって言ってるでしょ」
「いえ、先輩にそのような呼び方は…!」
「そんなもん?」 「はい。」
武田家の忍である猿飛佐助と舞月。
ここはその忍の為の訓練場。
「お前、いつもここにいない?」
「え?はい…。こうやって、一人静かに的を狙うのが好きなので」
「おっと。なら俺様は邪魔だったな」
「いえ!そういう訳では…!」
「じゃ!お邪魔しましたー♪」
「あ…」
いつもそうだ。口下手で、言葉数の少ない彼女はいつも人を傷つける。
「…まただ。」
こんな彼女にも佐助は優しく話しかける。
「本当、いい人なのに…」
「あの!」
「はっはい!」
後ろを振り向くと立っていたのは若き虎、真田幸村。
「だっ旦那さん!何故ここに…?」
「いや、佐助を探していてな。何処にいるか知らないか?」
「はい。探してきますッ」
「よろしく頼む。」
サッと消える幸村に一礼し瞬時に消える。
彼女は17歳という若さで名の知れた忍で、他の国主からもオファーが来るほどだった。
***
「猿飛さん…何処ですか…?」
「ここだよ?」 「キャア!」 「あ!おい!」
突如現れた佐助に驚き足を滑らせた。
「スミマセン…」
「まったく…俺様はキャッチしてなかったら怪我してたでしょー?」
「あ!?下ろしてください!もう大丈夫です!」
「そぉ?」
「すみません…」
「で?何か用?」
「はい!旦那さんが呼んでました。訓練場に行ってください。」
「えー…今じゃなきゃ駄目?」
「た、多分…」
「俺様親方の命令で薪を運んでる最中なのにさぁ…まったく忍使い荒い…」
「薪なら、私が運びますよ」 「本当!?」 「はい」
「サンキュー。じゃ、俺様の後ろ着いて来てね」
自分の持っていた薪を半分渡し、訓練場へ向かう。
***
「ほい!俺様登場!」
「おぉ!来たか佐助!」
「何よ旦那。用って」
「あぁ。独眼竜の所まで使いを頼みたい。」
「えぇ〜!?嫌だなー。あそこ全然歓迎してくれないんだもん!」
「それは佐助が無礼を働くからだろう」
「そんなぁ…。あ!じゃぁ旦那!舞月も連れて行っていい?」
「えっ!?」 「別に構わないが」
「えぇ!?」 「よし!決まり!」
***
「ちょっ…!猿飛さん、何故私まで…」
「さっき俺様の存在に気づかなかったでしょ。その罰。」
「でも…」
「シッー!静かに。奥州の旦那も女の子が来れば優しくなるかもしれないしね」
「Ah?誰が優しくなるって?」
「だから独眼竜の―――・・・」
「猿飛さんッ!」
佐助の顔がこわばったのをみて、とっさにクナイを飛ばす。
「Shit…!?何だコイツ!」
「あ!舞月!この人が独眼竜だから!攻撃やめッ!」
「ふぇ!?」