BASARA 長編

□あの日の約束(後)
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   ***

――――――――タンっ…



「どうされたのですか、急に手合わせなど…」

「Shut Up!」

朝起きるなり小十郎の元へ行き手合わせするよう命じた。

「Shit…畜生…ッ!」





   ***

「うーん…」

貸し切りとなった部屋で娘は腕を組んでいた。

「いつ戻ろうかなー…まだ腕は軋むしなぁー。」



―――――――――ダダダッ



「おい女!」         「ヒッ!」

「お前、治療とか出来るか?」

「多少なら…」

「頼む。来い!」

「え!?」





   ***

「片倉さん。貴方政宗の従者じゃないの?」

「面目ない…」

「私に謝るなよ。」



朝の手合わせ中の事、小十郎がいつも通りに刀を振るった筈なのだが、

それが見事政宗にヒットしてしまった



「・・・・と言う事だ。」

「と言う事だ。じゃないでしょ。何で稽古でガチ殴りなの。しかも脳天直撃。」

「いや…いつもなら寸止めだし、政宗様も俺の攻撃をまともに食らうようなヘマは絶対しない。

 だが…政宗様が…」

「何か、おかしかったと」

「あぁ。」

「…何を悩んでるんだろ」

「お前なら、わかると思ったんだが」

「もしかして、昨日の会話が聞こえてた、とか…」

「何?」

「いや…別に。」

「・・・」

「まぁ。少し切れてるし、頭だからなぁ…しばらく安静にさせておかないといけな…」

話し終わる前に小十郎は立ち上がり部屋を出ようとした。

「何処行くの?」

娘の質問の答えは小十郎から手渡された一枚の紙に書いてあった。

『片倉へ継ぐ。

 竜の宝である六爪を私の元へ持ってきたまへ。条件が飲めないのであれば

 兵を送り込む。よろしく頼むよ。』

「これ…」

「あぁ。松永からだ。」

「どうするの?」

「お前、政宗様を頼んだ。」

「うん。」

「俺は、アイツと決着をつけてくる。」

「1人で?」

「あぁ。こうなったのも、あの時、俺が仕留め損ねたせいだしな…」

「初めましてじゃないんだ?」

「まぁな。」

「私もついて行くよ」

「さっきも言っただろ。政宗様を頼む、と」

「・・・・」

何も言い返す事も出来ぬまま小十郎は戸を閉めた。
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