BASARA 長編

□あの日の約束(後)
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広がる景色

群がる群衆

構える何万もの敵軍

一人立つ独眼竜

その後ろに立つ伊達軍

見守る舞月



「イヤァハー!」

政宗の声を合図に戦が始まる。そこに松永の姿はなかった。

「政宗。片倉さんは生きてる。松永がいないのは1対1で戦ってるからかも」

「わかってる!アイツが黙ってれの側を離れるなんて事はあり得ねぇからな!」

「そっか!」

そう言ってる間にも、政宗は敵軍を骸に変えていった。

「行くよ!良直!」

「あいよ!」

ブオーと良直の吹く法螺貝を合図に伊達軍も攻撃を仕掛ける。



―――――――――ガィィン・・・



交わる刃。

むせ返る様な血の血おい。

男達の雄たけび。断末魔。

   「おらぁ!」    「ぐはぁ!」        「ヒッ…筆頭ぉ…!」

      「ヤアッ!!」    「ガアァッ!」      「畜生ッ!」



「・・・今も昔も、戦は変わらない…人を殺して、殺されて…何を生むって言うの…?」



「よそ見してんじゃねぇぞ女ァ!」



―――――――――バサァ



「女だからって、甘く見ない方がいいよ」

数は圧倒的。伊達軍の方が少ない、故に不利。

「政宗ッ!」

政宗の背後から襲おうとした弓兵の弓を切り捨てる。

「Ah?」    「ふぅ…片倉さんも大変だなぁ…」

「Why?」   「政宗の背中を守るのも楽じゃないって言ってんの。」

「Ha!そりゃ光栄。」   「まったく…」



    「グガッ…!…筆頭…」

「…」

    「おい!?しっかりしろ!」

「…」

    「畜生ォ…まだ、戦いてぇよぉ…」

「…」



周りの仲間が次々と倒れていく。それでも刀を鞘に納める訳にはいかない。

「Shit…!そう簡単にくたばるんじゃねぇよ、テメェら…!」

「政宗…」

舞月はあの時より数段強くなっていた。

左腕も義手とは思えない程器用に使いこなされている。

刀を振るう度血を浴びるその姿が、怖くて、そのまま何処かに消えてしまいそうだった。



「(舞月・…ッ!)」



――――――――――がや…がや…



終わった。

どうやら、敵軍は全滅したらしい。

奥州伊達軍の勝利だ。

圧倒的な数の差を押しのけて、勝ったのだ。

だが



喜びより、失ったもののが多いじゃないか・・・・ッ!
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