BASARA 長編

□あの日の約束(後)
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「政宗…」

「…おい、起きろよ。何呑気に寝てやがる…ッ!」

肩を、声を震わせながら屍に怒鳴りつける。

政宗の声に反応する者はいない。

その現状にガクンと膝を落とし「クソッ」と乾いた地面を殴る。

「・・・・」

その姿に、何て声をかければいいのか、簡単には浮かんでこなかった。

「お前ら…ここで死ぬのか。」

雨が、雷を連れて降ってきた。

ゆっくりと血を流し、臭いを消していった。

「俺は、駄目な大将なのか…?」

「・・・・」

「仲間が…死にすぎた…俺は同じ過ちを繰り返してる…。情けねぇ…ッ!」

「政宗…」

「…ッ。       Sorry。見苦しい所見せたな…ッ!?」

優しく抱き寄せる舞月。

自然に舞月の中にうずくまる形になった政宗。

「舞月・…?」

「政宗は天下を獲るんでしょ。だったら死んでいった仲間の分も進まなきゃ。」

「・・・・」



「進むのが辛かったらその場に立ち止っていよ。その代り、戻っちゃは駄目。

 後戻りなんてしたら、政宗の為に死んでいった人たちに失礼だから…」



「俺は…ッ!」

「政宗はその若さで沢山背負って、守ってるんだよ。

 悔む事なんてないでしょ…?」

直に感じる舞月のぬくもり。

「舞月…

   (左腕が…冷てぇよ…ッ)」



励まされる中で、過去の自分の無力さ、今の自分の無力さを感じた。



―――――――――――――サァー・・・・

           雨は、弱まった。



「さ、戻れる人を連れて邸へ帰ろう?」



「筆頭…ッ!」

「あぁ、お前ら、生きてたか。」

「えぇ、筆頭のお陰です。」

「…さぁな」

「ふぅ…。さ、自力で動けない人の肩を持って、帰ろう」





   ***

「・・・・・・」

「筆っと…「今は1人にさせな」

「舞月さん…」

「アンタの所の大将は若すぎるよね…」

「まぁ…」

「片倉さんも帰ってこないし…」

「片倉様は生きてるのでしょうか…」

「ハァ!?何弱気な事言ってんの!自分の副将なら信じなよ!」

「そう、ッスよね!」

「うん!」

その日、舞月hは邸を巡回し、弱気になっている兵を励ました。





   ***

「はぁ…」

「Hey!何弱気になってんだ!?」

「筆頭!」

「せっかく生きて帰ってこれたんだ。暗い顔してんじゃねぇゼ。」

「…ハイっ!」

下がりきった士気をあげる為、いろんな者に声をかける。



「舞月!」         「何?」

「少しどうだ?」

竹刀をちらつかせながら笑みを浮かべる。

「いいよ?私が勝ったら水ようかん奢ってね」

「Ok!」
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