BASARA 長編

□あの日の約束(後)
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―――――――――――――がや、がや



「筆頭と舞月さんが対決するらしいぞ!」

「見ものだな!」

「筆頭は一回も勝った事がないとかって話だぜ!」

「それは過去の話だろ」

「どっちが勝つんだ?」

「わかんねぇ!とにかく早く行け!」



――――――――――――パシッ! パンッ!



「Shit!相変わらず強ェ!」

「政宗も竹刀6本使えば?私も2本使ってるし。」

「その言葉、後悔するなよ…?」

「もちろん…!」

サッと4本の竹刀を追加し再び舞月と向き合った。

「本当だ…ッ」

どちらかが攻めれば守りに入り、隙を狙うが防がれる。

緊迫した空気。息をのむギャラリー。

「竜の旦那ァー。失礼するよー」

「お前…!武田の忍!」

「おや、俺様KYだった?」

ヘラヘラとした様子でこの空気をぶち破ったのは武田の忍である猿飛佐助。

「ごめんね。女の子とのお遊戯中に。」

「おい、コイツナメてるとそいつらみたいになるぜ」

そういって顎で指した先には武道場の隅でのびてる男達。

「おっと…失礼…。」

「で、何の用だ?」

「あ、そうだ。竜の右目いる?」

「アイツなら今は此処にいないぜ」

「あら、本当?」

「何が言いてぇ」

早くしろと言うように睨みをきかす。

「いや…最近松永の様子がおかしいんだ。いや、松永がおかしいんじゃなくて、あの邸がおかしいんだ。」

「(松永って片倉さんが向かった場所…)」

「静かになったと思ったら急に稲光が走ったり…」

「それ、小十郎のか?」

「わからない。それを確かめにわざわざ此処の来たって訳。」

「そうか…」

「加勢に行くの?」

「いや…アイツはれの命令で行ったんじゃねぇ。自分の意志で行ったんだろ。

 だったらその意志に水を差すような事はしたくねェ」

「そっか。」

「ひゅー。格好いいねェ!じゃ、確かに伝えたよッ!」

「あ!Wait!!」

佐助は政宗の声を聞かず、そのまま飛び去って行った。

「Huh…あの野郎…」

「あー…突かれた。今日はもう終わりにしよ?」

「あぁ…そうだな。」

舞月としては決着のつくまで続けたかったのだが、

「(もう、それどころじゃないでしょ…)」

政宗は、佐助の話を聞いてから、意識は手合わせどころではなくなっていた。
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