BASARA 長編

□あの日の約束(前)
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「おはようございます」

「・・・・・・」

「お母様…?」

「あまり、関わらないでくださる?」

「そんなッ…」

「ふん…」

「関わらないで…?」





   ***

「政宗様、外に裏に咲いた花を見に行きませんか?」

「行かない」

「とても鮮やかな花の様ですぞ」

「…行かない。」

「何故ですか?」

「外に出れば、笑われる。それか、嫌な顔されるから…」



「政宗様…城下町に行きますか?」

「え!?」

「此処は少し息苦しいでしょう。御忍びで構いません。責任はすべてこの小十郎が請け負いましょう。」

「…いいの?」

「はい。」

「…ははっ!アリガトウ片倉小十郎!」

笑顔で塀を越えていく政宗を見てホッとする片倉だった。





   ***

此処は自分の顔に対して言う人はいない。

あの邸のように堅苦しい思いをしなくていい。

その事は政宗にとって相当嬉しい事だった。

「ひっく…ヒック…//んん?お前さん何だいその眼?」

「え…その…」

「うへー気持悪ィ!目玉飛び出してやんのぉ!」

「む…」

「何だぁコレぇ…?ヒック」

「や…やめろ…」

「あぁん?」

ガッと襟を掴まれ足が宙に浮く。

「グッ…」

「生意気なガキだなぁ…?それに、やけに綺麗な身なりだしなぁ…何処の者だ?ん?」

「うっ…は、離せ…!」

「あぁ?」



――――――――――ゴガッ



「離しなよ。オッサン。」

「あ…君は…!?」

「お、お嬢!」

「酒ばっか呑んでるなよ」

「チッ!」

パッと手を離して逃げ去っていく男を睨みつける少女は、前にあった子だった。

「ケホッ…ケホッ…」

「大丈夫?」

「うん…。ありがとう」

「今日はどうしたの?」

「いや…」

「もしかして、また何か言われた?」

図星を突かれ小さく頷く。

「はぁ…あのオッサンといいアンタの所の大人たちと言い、見た目ってそんなに大事かな…」

「・・・」



「この右目が、政宗を縛りつけてるんだね…。」
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