銀魂 長編

□女の男
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江戸の治安を守る新選組。

むさ苦しい男共が募るむさ苦しい場所。

隊士に女なんていない。

力不足で邪魔になるだけだから――――・・・・・





   ***

「おいそこ!気ィ抜くんじゃねぇ!」

朝の剣術稽古はどいつも眠そうでいけねぇ。

「おい、もう少しコイツを見習えよ…!」

そう言って指差したのは

「え?俺ですかィ?」

総悟 「違ェ」 の近くで刀を振るう少年。

「・・・?」

「夜翔程真面目な奴も此処には珍しいよなぁ!」

他人事のように笑う近藤と、

見るからに不機嫌そうな土方。

堂々とサボっている沖田。

刀でなくラケットを振る山崎。

仕事への熱意が感じられないこの屯所で、夜翔の真面目さはひときわ目立つ。

「…何ですか?」

そして、愛想の悪さもひときわ目立つ。

「けっ、可愛くねェ野郎でさァ」

「ま、俺は仕事さえしてくれればいいんだが」

「へー…」





   ***

「総悟…いい加減問題を起こすのをやめろ。俺の仕事が増える」

「え?俺ァ一生懸命仕事してんのにその言い草はなんですかィ?」

「どういう仕事したら器物破損に繋がるんだァ゛?」

「さっ、仕事仕事ぉ」

「待てこらぁ!」



――――――ドンッ!



「ツー…あ、悪ぃ」

「・・・・」

怒りで周りが見えず、思わず夜翔と衝突した。

「いえ… あの、どいてくれますか?」

「あ、悪ぃ…」

そして何事も無かったかの様に歩いて行った。

「ん?土方さぁん。いくら腹が立ってるからって部下に乗っかって首絞めるのはどうかと思いやすゼ?」

「絞めてねぇ。事故だ。それに…誰のせいで不機嫌だと思ってんだァ!」

今日はいつも以上に騒がしい。何故なら今日は江戸の一大イベント、花火大会が開かれる。

新選組はその警備を任されているのだ。

「たっく…祭り気分で騒ぎやがって」

「おめーら酒持ったかァ?」

「「おう!」」

「テメェらまで!」

「おい、そうピリピリするなトシ。お前ら、行くぞ!」

「「おぉう!」」

「って何でアンタは上裸なんだッ!」

「いざ!花火会場!」





   ***

「・・・・・」

「・・・・」

「…暇ですね。」

「まぁ警備って言っても喧嘩の仲裁かひったくりの取り押さえぐらいだしな。」





   ***

「結局何事もなく終わりましたね。」

「あぁ!平和が一番ッ!」

「じゃ帰るか」

「おぉ?大串君達じゃねぇか」

「よう万事屋!今帰りか?」

「そうネ!ゴリラ共は監視アルか?」

「ゴリ…ッ    あぁ。もう祭りも終わったし、あとは打ち上げだけだな!」

「ハァ!?何ふざけた事言ってんだ近藤さん!俺は帰るぞ」

「あれぇ?土方君は帰るの?あっそうか、お酒、弱いもんねェ?」

「ハァァ!?テメェは人の事言えんのかッ!上等だ…。今回で決着付けてやる!」

「いいぜェ?(タダ酒…w)」

「もう!そのまま酔いつぶれても知りませんよ!」

「わぁってるよ!」

「もう…」

泥酔したオッサンを運ぶこっちの身にもなってよ…とため息をつく新八。





   ***

「――――プハァ!」

「へー…なかなかやるじゃねぇか…ヒック!」

「まだ…行けるぜ?ヒック…おい!酒持ってこい!」

「何だァ?祭りはお開きになったんじゃねぇのか?」

「おぉ!源外のジジィ!花火残ってねぇか!?」

「へへ…わがまま言ってくれらぁ!」

そう言いながらもカラクリを動かし花火を打ち上げる。
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