BASARA 長編
□酒癖と彼女
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小十郎が邸を出てから数日経った。
「政宗様!!小十郎様がお戻りになられました!」
「Reary!?やっとか」
「把握して無かったんですか?」
「yes!いつか帰って来るのは確実だからな」
口がにやけるのを隠す様に急いで小十郎を迎えに行った。
***
「小十郎ッ?」
「…」
「…小十郎。これはどういう状況だ?」
「見ての通りだよ。政宗君」
邸の前にいる小十郎。
その後ろには豊臣と竹中が。
「この男は我等と共に来るのだ」
「Ah?」
「そんな器の小さい男の元にいるよりも、秀吉の元で働く方がよっぽど有効的だろう?」
「何ふざけた事抜かしてやがる。おい、戻れ小十郎」
「…」
「小十郎?「ほらね、君への忠誠などこの程度なんだよ。」
「おい、小十郎!」
声に反応する様に政宗の元へ近寄る。
「政宗様。もう限界です」
「Ah?」
―――バサッ
「な…ッ!」
「政宗様ァァッ!!」
突如、歩み寄って来た小十郎に斬りつけられた政宗。
状況を理解仕切れず立ち尽くす政宗に2撃目を加える
―――ギィンッ!
「…小十郎、様ッ!」
ギリギリの所で舞月が止めに入ったが、そうでなければ政宗は確実にやられていた。
「舞月か…」
「主に刃を向けるなど…腹切の覚悟はありますか」
激しいつばぜり合い。
「俺は、もうここには戻って来れねぇ…」
「え?どういう…」
「もういい。戻れ片倉」
「…」
舞月の問いかけは秀吉の声に掻き消され、刀は斬る相手を見失った。
「じゃ、今日は帰るよ。挨拶をしにきただけだから」
「待って…小十郎様ッ!」
小十郎は一言も語らない。ただ秀吉の横に跪くだけ。
何も出来ないまま、3人は姿を消した。
「…」
「そんな…」
立ち尽くしている暇などなかった。後ろでドサッという音がした。
「政宗様ッ」
背中の傷は致命的なものではなかった。それよりも精神的ショックのが大きいのだろう。
「政宗様、しっかりして下さい!」
政宗を担ぎ、部屋へと運ぶ