※エリザベータの妹注意 「ギルベルトー!ローデリヒさんに何するのよ!」 家の中から姉さんの声が聞こえる。 どうやらまたギルベルトさんがローデリヒさんにちょっかいを掛けたらしい。 懲りない人だな、なんて思いながら本を読んでいるとコンコンと窓をノックされた。 鳥が窓の桟に止まったのかなと窓に目を移すと、小鳥…を頭に乗せたギルベルトさんだった。 ここ3階ですよ!?と急いで窓を開ける。 「よぉ***。ちょっと匿ってくれ」 どうやら姉さんに追いかけられてまだからの脱出を試みたところ、下に降りるとすぐ追い付かれるから敢えて上に来たという。 登場の仕方に驚きながらも窓を全開にして、どうぞ入ってください。と促した。 『それにしても毎日のように姉に追いかけられて…よく懲りないですね』 「まあな。じゃねーとお前と会う口実ねーからな」 『…?』 訳が分からず首を傾げていると、ケセセと独特に笑って頭を撫でられた。 「なんでもねーよ」 『じゃあ約束しましょ?』 そういうと今度はギルベルトさんが首を傾げた。 肩に乗っている小鳥も首を傾げたように見える。 『いつどこで会うか約束したら口実なんて必要なくなりますよ』 それに姉に追いかけられることもありませんから。 どうですか?と小指を出して言うとキョトンとした表情を浮かべる彼に何か変なことでも言ったかなと考える。 「…やっぱりお前、かわいすぎるぜー!!」 『え?わっぷ!』 途端、抱きしめられてぐちゃぐちゃに頭を撫でられた。 あー俺様好み。など言いながらしばらく撫でていた手が止まって、解放されると思ったら十分にくっついている体をさらに抱き寄せられてもうなにがなんだか 『ああああの、く、苦しいです///』 「わりぃ、ついな・・・お前、真っ赤ケセセセ」 『み、見ないでくださいー!!』 グイグイと押して離れるのを試みたけど私の力じゃ全く及ばず・・・ そして私が諦め始めた頃にようやく離れてくれた。 といっても相変わらず彼の左手は私の頭の上に留まっている。 頭を撫でられるのは嫌いじゃないけど・・・ 『あのギルベルトさん、できれば手を・・・』 おずおず言い出すと「嫌だったか?」と言われ慌てて横に首を振った。 『その・・・寧ろ気持ちいいというか落ち着くし嫌いじゃないですよ!でも恥ずかしいです・・・』 「・・・お前なあ、それ俺以外に言うなよ?」 やけに真剣な表情で言われて戸惑う。 大体、私の頭を撫でてくる人なんてギルベルトさん以外にいないし。 よく分からないけど一応「Ja.」と答えると「よし」と笑って止めていた手をまた動かし始めた。 恥ずかしいって言ってるのに・・・! 「俺***のこと好きだぜ」 『え!?な、な・・・///』 「お前はどうなんだよ?」 さっきのうような真剣な面持ちで問いかけられ、ボンッと顔が赤くなるのがわかった。 どうなんだよって言われてもどうなんだろう・・・ 嫌い。なんてことはない。よく話してくれるし、もしかしたら男の人の中じゃ一番仲がいいかもしれない。さっきみたいに頭を撫でられるのもどちらかというと好き・・・だし、ハグされたときもちょっと恥ずかしかっただけで嫌じゃない・・・。 そういえばこんなにドキドキするの、ギルベルトさんにだけかもしれない。 もしかして私・・・ 『あ、あの「ギルベルトー!この屋敷にいるのはわかってるのよ?出てきなさーい!」 ・・・え?』 すぐ近くの廊下から姉さんの声。 それを聞いたギルベルトさんはやべぇと青ざめた。 「続きはまた・・・あー・・・明日、近くの広場で会おうぜ。約束すんだろ?」 『は、はい!』 そう言って慌ただしく入ってきた窓に足をかけた彼はためらうこともせずに勢いよく飛び出してしまった。 私は慌てて窓に駆け寄って下を見るとスタっと平気で着地していた。 その瞬間、後ろの方でバタンという音。 『煤I!』 「***、ギルベルト知らない?あいつまたローデリヒさんに・・・」 『し、知らないよ?あの人も懲りないですね』 「もー、一発殴ってやらないと気がすまないわ。ごめんね日向ぼっこ中に」 そういって姉さんは出て行った。 なんとかバレないで済んだみたいだけど・・・言いそびれちゃったな。 『・・・・・・明日、広場で・・・か』 |