短編

□ソファーで君の
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今日は特に出かける予定もなく、かと言って家で何をするわけでもない。
ただ快適な家の中でフランシスと2人で2人がけのソファーに座って、私はテレビから聞こえる音を聞きながら雑誌を見てる。
ペラっと次のページをめくると一緒にコーヒーカップをテーブルに置いたフランシスに呼ばれた。



『なに?』
「***」
『なにってば』
「***」
『・・・・・・』



いくらフランシスの呼びかけに答えてもまた名前を呼ばれるの繰り返し。
もー、なんなのよ?と思いながら私は口をつぐんだ。
するとフランシスも私を呼ぶのをやめた。



「***」
『・・・・・・』
「・・・好き」



またしばらく、雑誌を10ページほどめくったくらいに呼びかけてきたけど、きったまた繰り返すんだろうと思い、返答をせずに雑誌をめくる。
すると思いもよらない言葉に途中までめくった手を止めてしまった。



『・・・っ///』



別に初めて言われた言葉じゃない・・・むしろ毎日のように言われる言葉で、もう言われるのも慣れていたけどいきなりのことで不意を突かれて思わず照れる。
いきなりなに!?と言うようにバッとすぐ隣にいるフランシスに顔を向けると交わった目線に更にドキドキして言葉が出ない。



「かわい」
『・・・うるさい』



フッとフランシスに微笑まれて恥ずかしさがさらに増してしまった私は、ソファーの背もたれにボフンと体を預けて開いていた雑誌で顔を覆い隠した。
後から聞くと、前までは何でも照れていた私が最近は慣れてリアクションが薄れた私の照れている顔が見たかったらしい。
もう、こっちは寿命が縮むっての・・・





 


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