『うー・・・』 世界会議も終わり、資料室にでも寄ろうとドアノブに手を伸ばすと中からうめき声が聞こえた。 多分・・・多分だがこの声は***だ。 まさか無理に資料をとって落ちてきた資料の山に埋まってるんじゃないか?・・・いや流石の***でもそれはないだろと思いドアノブを回す。 そこには想像していた光景はなく、踏み台の上で背伸びをして上の方にある資料を取ろうとしている***。 もう少し、そうだなあと1cmもあれば届きそうなんだが・・・ 「手伝おうか?」 『・・・いい』 振り向きもせず、資料の壁にぺったりくっつきながら放たれたのは否定の言葉。 意地っ張りというかなんでも自分でやりたがりな***のことだから他人に手伝われるのは自分のポリシーに反するんだろう。 ***の背は俺より10cm低いくらいで小さい訳じゃない。膨大にある資料を収納するために天井近くまで棚があるから俺でも踏み台を使わないと取れないものもある。 『ふんっ!』 「・・・・・・」 背伸びだけじゃ無理だと判断したのか、台の上でピョンと跳びだした。 なんつーか、別に俺はSじゃねーけど悪戯したくなる姿。 悪戯なんて紳士の行動じゃないが、別に相手は自分の彼女なんだから少しくらいいいだろう・・・ 相変わらず背伸びだの跳んでみるだのしている***にそーっと近づき伸びている背に人差し指を上から下へおろした。 『ひゃっ!!』 「おっと」 小さい悲鳴を上げて身をよじった***ははバランスを崩して台から落ちたが、すぐ後ろにいた俺が受け止めた。 『もー、なにすんのよ!』 顔だけ俺に向けて眉間に皺を寄せ怒る***の手には1冊の資料があった。 跳んだりしているうちにちょっとずつ指を掠めて少し棚から出ていた資料がさっきの拍子で掴み取ったんだろう。 「取れたじゃねーか」 『うー・・・。っアーサー、もう大丈夫だから離してよ』 「・・・嫌だ」 世界会議でくらいしか会えないんだ、いいだろ?そういうと彼女は諦めたかの様にはぁとため息を吐いて体重をあずけてきた。 密着している体をさらにくっつけて***の首元に顔をうずめるとふわりと香る***の香りが鼻腔をかすめた。 久しぶりのこの感覚にぞくり、何かが俺の中を駆け抜けて行く。 俺は***の体をグイっと半回転させ、向かい合わせるといきなり何事だと驚く***に構わず彼女の頬を包み込んでキスをする。 『んっ!・・・・・・ふ、あーさ、まって///』 「待たねぇ」 柔らかい上唇に噛み付いて、***が恥ずかしがる顔をするのを確認してから舌を絡ませる。 苦しそうな声を漏らしながら俺の服をぎゅっと掴んで耐えている***が堪らなく可愛く愛おしい。 そのうち、服を掴んでいた手がトントンと胸板を叩いてきたので解放してやる。 『っはぁ、』 「はっ、キスだけで腰抜かしたのかよ」 『う、うるさいっ・・・!』 よろけて後ろに倒れそうになる***の手首を掴んで支える。 その脚は僅かに震えていて俺がこの手を離してしまえばストン、と床に座り込んでしまうだろう。 さて、ここは幸いにもイギリスだ。屋敷に戻ったら何をしてやろうか・・・ |