短編

□空白を埋めよう
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「お兄さん帰ってきたよー」



会議があったため1週間程度家を空けていた。
久々に彼女の声を早く聞きたいと玄関を開けて声をかけてみるけど反応はない。
時間は既に深夜1時を過ぎていてまぁ、仕方がないと言えば仕方がない。
俺も疲れたから他の部屋に寄り道しないで自室へ向かった。



「・・・どしたの、夜這い?」



部屋に入って電気をつけるとベッドに寝転がってる***を見つけた。
コートを脱ぎながら冗談交じりに話しかけてみたけど返事は返ってこない。
寝ているんだろうかと近づくと小声で「充電中。」と呟いたのが耳に入る。



「じゃあ俺も充電する」
『ん』



俺のベッドの掛け布団をギュッと抱いて寝転がっている***を真似て、***をその掛け布団と見立てて同じように背中から抱くように被さった。
いつもなら「くっつくなー!」とか「変態ー!」とか言って突き飛ばしたり蹴飛ばしたりしてくるけど今日はそれはないみたい。
試しに「あれ、蹴飛ばさないの?」なんて聞いてみたら「ん」と短い返事が返ってきた。



「寂しかった?」
『・・・別に、そんなんじゃないもん』



バレバレな嘘を吐いて強がる***に気づかれないように笑う。
だって可愛すぎるでしょ。



「一緒に寝よっか」
『ん』



クルリと体を半回転させて擦り寄ってきた彼女の頭を包み込むように抱く。
髪に指を通しながら撫でているとしばらくもしないうちにスヤスヤと寝息が聞こえてきた。
起きたら何をしてあげようか。
ご飯を作ってあげて一緒に食べて、一緒に後片付けをして。そうだな、明日は1週間分甘えさせて俺も甘えようか。
それから夜はまた一緒に―・・・


  


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