逃避行とでもいこうか

□4話
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『ヴァンパイア…?』
「ああ。ここ数十年〜百年くらいは大人しかったんだが、最近また人間に手を出す輩が出てきてな」
『……え、それを封印しろと?』
「ご名答。勿論、お前1人じゃない」



そう言って振り向いたアーサーの視線を辿るとフランシスにフェリ、そしてローデとエリザがいた。
どうやら今回の任務はこのメンバーと行くことになるらしい。
ヴァンパイアを相手にするのは初めてだからちょっと不安だな。
1体1体能力の強さが違うからランクもC〜S級ってアバウトな悪魔だし…



「今回のヴァンパイアはまだ情報が少ない。今回の任務では情報収集を優先しろ。やむを得なく戦闘になった場合、危険と判断したらすぐ引き返せ。封印はまだ先でいい。いいな」



いつになく真剣な表情で喋るアーサーに緊張が走る。
それは私だけじゃないようで、みんなの表情もどこか緊張した様子をうかがえる。



「ヴェー…俺ヴァンパイア初めでだよー」
「大丈夫よ。いざとなったら私がフライパンをお見舞いしてやるわ」
『エリザはヴァンパイアの経験あるの?』



それなら頼もしい!と思ったけど即答でいいえと言われてしまった。
エリザのそのなるようになるわよ!というポジティブな思考を少し分けていただきたい。
ん?あれ?そういえばさっき数百年近くヴァンパイアの被害はなかったって言ってたけど…ここにいる私含め5人のエクソシストは全員ヴァンパイアとの対峙経験はないってことじゃ?
というか、現役のエクソシストは誰1人として経験していないのでは?
それをアーサーに言ってみると心配するなと言われた。
どこか自信あり気なその発言。



「遅れました、すみません…」
「お、来たか」



声のした方を振り向くと、エクソシストの服装纏った本田菊さん。
彼はアーサーの前任者…つまりこの教会のトップだった人だ。今は引退し、ご意見番をしている。
話によると過去にヴァンパイアと対峙したことのある唯一のお方だそうだ。
あれ、菊さんて何歳?



「じゃあ、頼んだぞ」
「ええ、お任せ下さい」
『え?ちょ、もう行くの?』



まだお昼を過ぎたぐらいで外はとても明るい。
てっきりもっと暗くなってからの行動だと思っていた私は少し間の抜けた声色で声を上げた。
どうやらヴァンパイアがいるのはこの教会から正反対の深い森の中で、もうそろそろ出ないとヴァンパイアが行動を始める頃に間に合わないという。
ずいぶんと急な任務だ。



「行くまでの道のりで私が過去に対峙したヴァンパイアの特徴をお話ししますね」


 

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