中編

□小悪魔なきみに恋をする
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◎わかっていたのに虜になった(西視点)






『アントーニョくん、前言ってたの作って来てからあげる!』
「ん〜?」



昼休みに入ってすぐ、なんや呼ばれたと思って授業中からずっと机に突っ伏してた体を起こして声のした方を見たらななしちゃんがおった。
その手には如何にも女の子が持っとるような小さめの弁当箱。



「それ、なしたん?」



そう俺が言うと「忘れちゃった?」と微笑みながら、空いとった俺の前の席に向かい合うかたちで座った。
そしてその持っていた弁当箱を開けたと思ったら色とりどりで美味しそうなおかずが顔を見せた。
一番に目に入ったのは卵焼き。
そういえば思い出した。
この前ななしちゃんが食べとった弁当見て、それ美味しそうやな言うたら一瞬驚いた顔しとったけど笑顔でじゃあ今度作ってきてあげるって言われたんやった。



「これ、食べてええん…?」
『もちろん。だってアントーニョくんに食べてもらうために作ったんだもん』
「じゃあもらうで!」



わ〜、もう俺の心臓、嬉しさと嬉しさと嬉しさでバクバクやー。
だってホンマにくれると思っとらんかったから冗談半分で言うたことなのに覚えててくれてホンマに作って来てくれたんやで?好きな子が!
しかも「アントーニョくんに食べてもらうために作ったんだもん」て可愛すぎるわ〜
なんや楽園におるみたいやんなぁ。



「なんやこれ、めっちゃ美味しい!」
『ほんと?』
「ホンマホンマ!親分ウソつかんで〜」
『ならよかった!(親分…?)』
「あれ、トーニョ今日お弁当?」



ななしちゃんの弁当食べれるわ、笑顔見れるわ、ぎょーさん話せるわ最高や思っとったらフランシス。
俺の楽園返せ。



「ななしちゃんにもろてん。フランシスにはやらんで(モッモッ)」
「それってもしかして前言ってた…?」
『そーだよ』



あー、そういやあの場にフランシスもいたんやっけ?
あの後フランシスには「ああ言って大体は作ってくれないもんだよ」とか言われたけど…どうやフランシス!



「いーなー。俺にも作って〜…なんて」
『いいよー。私が作ったので良ければ!』



………せやった。
ななしちゃんみんなに優しいええ子なんやった…。
ちょっとでももしかしたらななしちゃんも俺のこと好きなんちゃうかな〜思った俺のアホ…




→思わせぶりはきみの特技だ

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