BOOK1
□覚えてない
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翌朝。
「おはよう、クリス」
「ん…」
まだ眠そうなクリスは、目を擦りながらベッドに腰かけてる私の後ろにまわると
そのままきゅっと私を抱き締める。
「ね、夜中のこと覚えてる?」
「夜中?」
「うん。夜中私が携帯いじってたらクリスが“携帯に構ってるくらいなら俺に抱きついてろ”って!」
「・・・」
「あれ、だいぶキュンってきた」
私は顔だけ後ろに向けると、クリスはぽかん、とした顔をしていた。
つんつんほっぺをつっついても、髪の毛をわしゃわしゃしても反応なし。
そして…
「…覚えてないや」
どうやらクリスは
寝惚けながら携帯に嫉妬していたみたいです。
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