紅い月−少女の涙と鈴の音−
□MISSION*02
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MISSION*02
「ここにXを当てはめて…」
太陽の強い光が窓から差し込んで眩しく、窓際の席は暖かい。
当たっている場所は、暑さがじりじりと伝わってくるのが分かるくらい日差しが強かった。
授業は数学。
説明が3年B組の教室中に響き渡って煩いほど大きな声を出す教師の姿に、その話を聞いている生徒たち。
いたって普通な授業態度と見受けられる中、教室の隅の席、つまり後ろの窓際の席の人物の態度が他とは全く違い、目にチラついた
「…仁王!お前が授業受けてるって珍しいな」
「黙りんしゃいブンちゃん。なんなら次からサボろうかのぅ…」
「っテメッ!ざけんな!!」
「おー、こわ。」
そんな暑さも忘れてひそひそと喋っていたのは丸井と仁王だった。
授業中だと言うのに。
『…はぁ…』
そして、もう一人。
丸井の横…仁王の後ろの席の人物。
赤縁眼鏡をかけたきれいな茶色の瞳に、長く真っ黒な髪の毛の少女。
彼女も窓の外を見つめて欠伸をしていた。
…やる気がないのだろうか、この三人。
先生は席が近くのこの三人を見る度に何度思っていることだろう。
だが、そんな教師の気持ちもお構いなしに過ごす3人の姿がそこにはあった。
「「『(あー眠い。)』」」