紅い月−少女の涙と鈴の音−

□MISSION*05
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MISSION*05



ある日の放課後。

またとんでもないことを起こそうとしている奴がいた。


それは、勿論。

あの、全国大会二連覇を成し遂げている有名でアイドル現象している部活の人達である。




 * * *




『【黄泉様】の次は、【口裂け女】か。』



一週間前までは平凡だったのに、よくも仕事を増やしてくれたな。

奈緒は屋上に寝っ転がって空を見上げたまま溜め息を付いた


今回は校内ではないが、どこに出るか予測不能な悪霊だ。



口裂け女とは皆さんお馴染みのあの都市伝説で有名な【口裂け女】だ。

赤いコートにハイヒール。
片手に釜を持って、とても大きなマスクをつけている。

100メートルをたったの3秒で走って追いかけてくるという大変気持ち悪い怨霊。


出会えば、「私、綺麗?」と聞いてきて、綺麗じゃないと答えれば殺され、綺麗と答えれば「これでもぉ?」と言ってマスクを外し、釜で同じ様な目にあわされる。



ただ、【口裂け女】にも対処法が三つある。


一つ目は、“ポマード”を三回唱える。

まぁ、これは単なる時間稼ぎだ。
逃げるためのな。


二つ目は、べっこう飴をあげることだ。
口裂け女はべっこう飴が好物だからな…


そして、三つ目は、少し難しいが…褒めることだ。

褒めるには、まず目が見えないふりをすること。
“私は目が見えないので分かりませんが、綺麗な声ですね。”と。

目を合わせたら嘘だとバレてしまうし、姿を見て驚いても見えるとバレてしまうから少し難しい対処法だ。

まぁ、無理だろうな普通。一般人にそんな対処なんて出来やしない。見て驚くのが目に見える。
そんなことが出きる奴がいるとしたら褒めてやりたいくらいだ。


前置き、と言うより口裂け女の説明はこの辺で終えるとして、そんな口裂け女がこの学校の近くの山にでたらしい。

誰が目撃して、誰が情報を流したのかは知らないが、それが校内で噂になっている。

まぁ、その情報はあながち間違ってはいないが…噂というものはすぐに広がる、怖いものだな。


そして、口裂け女に対するこの三つの対処法を知っていれば死なずには済むが…

何せ、遊び半分で【口裂け女】を探す奴が多い。


だから、悪霊は…
すぐ見つけて、抹消しないとな…

嫌でも…私の仕事だから……。



奈緒はそう思いながら目を閉じた。

…現在、9時39分。
立海は2時間目の授業真っ最中だ。=またサボリ。

 
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