紅い月−少女の涙と鈴の音−
□MISSION*07
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MISSION*07
『…暇だ。……屋上でサボろうか…』
翌日の1時間目前、奈緒は早速サボるかと1人呟いて席を立とうとした。
すると、廊下の方から女子の黄色い叫び声が響いてくる。
『…全く朝っぱらから騒々し、い………』
「神楽奈緒ー!!!」
奈緒の名前を呼んで教室へとぞろぞろ入って来たテニス部レギュラー陣。
彼らは、奈緒の机を囲んだ。
喋り出したのは、意外にも奈緒から
『…何だ。』
「ちょっといいかい?話しがあるんだ。」
幸村は前に出ると、奈緒に向かってにっこりと微笑んで言ったが、奈緒はそれを華麗に無視して窓の外を見た。
『…残念だが生憎、私は君達に用が無い。…って、おい!離せ!!』
強制連行。
奈緒の喋っている途中に仁王と丸井によって教室の外へと引きずられた。
連れてこられたのは、屋上。
奈緒が行こうとしてた場所だ。
『…何だ?』
勝手に屋上まで連れてこられたり、のんびりと過ごしたい時間は無くなったりで、奈緒も相当イライラモードだ。
「まず、昨日は助けてくれてありがとう」
幸村は奈緒の方を向いてそう言った。
奈緒は幸村を鋭い目つきで黙って見つめる。