紅い月−少女の涙と鈴の音−
□MISSION*09
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MISSION*09
『…それから。私の式じゃないが…頼まれて会いたいと言った奴を連れてきた。…幸村、君にだ。』
「え?俺かい?」
奈緒はそう言った後、鞄のチャックを開けると少し光に包まれた小さな生き物がそろりと頭を出した。
『…幸村。コイツからお前に伝えたいことがあるらしい。』
それは、淡いピンクのワンピースみないな服を着て、花の髪飾りを付けた小さな女の子だった。
「…君は…?」
〈私は、フレア。花の精霊…。〉
「…俺は、幸村。幸村精市」
幸村がそう言うと、彼女は静かにその場で会釈した。
〈……私はアナタにお礼を言いたくて、来ました。
お礼を言いたい…そう思っても、いつも気付かれずに終わってしまう…。今日の今まで、ずっとあなたを思い続けていました
…それで今日、やっとこの陰陽師である、奈緒さんに気付いてもらって…。
幸村様…いつも、花の手入れや水やりをして下さって、その…ありがとうございます…〉
彼女の小さく綺麗な声は静かな部室に響き渡る。
幸村はふふっと笑った。
「…どういたしまして」
奈緒も二人の会話を聞いて、一瞬ふっと笑った。