キミと俺との恋愛事情。

□甘い時間
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放課後、正門の入り口に2人の先輩が立っているのを見つけ、そこへ向かって急ぐ。

すると、俺に気付いたのか、武藤先輩が笑って手を振りながら霧野先輩に話しかけていた。



「あ、狩屋君来たよ!」

「ったく…何でコイツもなんだよ…」



そう言ってあからさまに深い溜め息を付く霧野先輩にイラッとする



「昨日、散々人を連れ回しといて何ですか!」

「まぁまぁ…さて、ケーキ屋さんに行きましょーっ!」

「お前…ご機嫌だな」

「それはだって、霧野君にケーキ奢って貰えるから!…ねー?狩屋君」

「はいっ!」



霧野先輩は、はぁ…と深い溜め息を付きながら武藤先輩についていく


…武藤先輩の頬の湿布はまだ取れてなくて、何故か見ているだけで痛々しく感じる

どうしてそんなことになったのか、物凄く気になるけど顔に出してたら意外と鋭い霧野先輩に気付かれて2人に迷惑をかけ兼ねない。

そう思い、今は霧野先輩がケーキを奢ってくれるという事で、精一杯楽しむ事にした。



俺達は店に付くと日当たりのよさそうな席に座った

大きな窓から外の景色が見える場所に。


俺達はそれぞれメニューを見て自分が食べたいケーキを1つずつ注文した

武藤先輩はミルクレープで、霧野先輩がチョコレートのティラミス。
んで、俺は勿論大好きな苺のショートケーキ!

頼んだケーキは数分も経たずに運ばれてくる。

見た目的に凄く高級そうな仕上がりなケーキだったけど、値段は安かったそうで霧野先輩がホッとしているのが目に見えた。



「うわぁ…美味しそう!」

「ありがとうございます、霧野先輩!」

「何でお前まで…奢らないからな」

「俺、今日財布持って来てませーん」



俺がそうにっこり言うと霧野先輩は「畜生…」と呟いて深い溜め息を付いた。

ほんとは財布あるけど。



「狩屋君、お主もなかなかやりますなあ…」

「…何スか先輩、そのテンション。」



武藤先輩はケーキを口に運びながらふふっと笑った

そして隣からまた小さな溜め息が聞える。



「霧野先輩、溜め息ばっかりついてると美味しいものも美味しくなくなりますよ」

「ほうらよひりのふん、たのひまらきゃ(そうだよ霧野君、楽しまなきゃ)」

「食ってから話せ!…ったく、誰の所為だと思ってるんだ…。昨日突然、武藤からメールあって『紗雪は明日、駅前に新しく出来たケーキ屋さんのケーキが食べてみたいなぁ〜、誰か奢ってくれないかなぁ〜?』…って内容なんだもん。何で神童じゃなくて俺に言った訳?アイツに頼んだ方が快くOKしてくれたと思うのに…」

「…ゴクッ……いやぁ…ほら、拓人は委員会だし?」

「…まぁ、神童がそう言ってたから仕方なく『一緒に行くか?』って返せば安定の速さで返信来て『わぁーい!ありがとう!流石は霧野君だね!! そう言ってくれると思ってたよ!あ、後、狩屋君も一緒にね!』だって…はぁ…」



先輩の昨日の出来事をだらだらと聞かされて苦笑する俺と武藤先輩

てゆーか、昨日聞いたメールの内容より今聞いた方がすっごい可愛かったんだけど…


霧野先輩は武藤先輩とメールでこんなやり取りしてんの?

…そう思うと、霧野先輩に腹が立った。


これって、いわゆる嫉妬だな

 
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