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□交錯
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オレはある人物との接触を試みる為、水の国外れのとある場所に足を踏み入れていた。
氷点下の寒空の下、祠に向けて続く石段と、それに連なる朱色の鳥居が印象的な場所だった。

「……」



今回、“暁”に指令を受けたオレがこの場所で接触を試みる人物は、“女天狗”という通り名を持つくの一。
暗殺・窃盗・諜報活動…金さえ積めば世界各国に赴きその依頼を遂行する。
そんな確かな腕を持ちながらも、どの組織にも属さない彼女に“暁”が目を付けたのだ。



「……」

気配を殺しながら祠に続く石段を上り、連なる朱色の鳥居をくぐり抜けたオレの眼に映ったもの。

「……」

色素の薄い髪を纏めた華奢な女の後ろ姿。
予想していたより随分小柄だとは思ったが、どうやら“女天狗”で間違いはないだろう。

「……アンタ、誰?」

その後ろ姿はほんの僅な気配すら見逃さない。

「アタシの首でも獲りに来たのかい?」

そのクセ、振り返る事もせず、悠長に話し掛けて来るのだ。

「…お前が“女天狗”か?」

その後ろ姿に問いかけると、ユラリとその後ろ姿が此方を振り返った。

「……」

声の感じからして、若い女だとは認識していたが…

「…アタシの質問に答えるのが先だよ」

目の前にいるのは若い女というより、年端もいっていない娘。
白い肌に琥珀色の瞳が印象的だ。
多分、オレとそう変わらない。

「……」

「……」

互いを見据えたまま、暫く膠着状態が続く。




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