気まぐれお題小説集

□Text1:足跡(プロット) 
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Text1:足跡 (プロット)

かーごーめーかーごーめー
かーごのなーかのとーりぃーはー
いーつーいーつーでーやーるー・・・

霧が立ち込め、
とても冷たい場所にも関わらず、
そこにはかつて生きていた子供たちが輪になって遊んでいました。
それはそれはもう感覚なんてどこか遠くに飛んで行ってしまうほど、
ただただ冷たい場所で子供たちは‘かごめかごめ’をして遊んでいました。
                            *

 死後の世界。
ここにいる子供たちは皆、
いつも偉そうに自分たちを見下ろす
‘親’を中心に‘オユウギ’の儀式をすることで、
自分たちが生きていた世界を見に行くことが許されていた。
 
 現在の儀式は‘ハンカチオトシ’である。
ハンカチを後ろに落とされた子供が‘選ばれた人’として
温かい場所へ行くことが約束され、地上へ行くことが出来た。

ここにいる子供たちはみな、地上へ行くことを
‘晴れ舞台’と称し、
自分の名前が呼ばれる瞬間を待ち望んでいた。

 主人公のナナは、
自分より背の低いミサコに手を引かれ、
それらの仕組みを知ることとなる。
しかしそれから先、‘晴れ舞台’に待つものとは、
地上に出てから七日の間に
自分の死体を見つけなければならない、
もし7日以内に見つけ出せなければ、
鬼となり地の底へ落とされるというものだった。
最初にミサコ、
次にナナの‘晴れ舞台’がやってきた。
 いつまで経っても戻ってこないミサコを心配していたナナだったが、
地上へ行き、この‘オユウギ’の本当の目的を知る。
そして同時に、鬼となったミサコの影を目撃した。
 あまりにもその残酷なミサコの姿を見て、
ナナはせめてもの救いになれればとミサコの死体も含め、
自分が殺された経緯を探すことを決意する。

 最中、ナナのことを七菜と呼ぶかつての兄、
直樹に遭遇する。
 
 直樹はナナが死んだ後、
この世のものではないものが見えるようになったのだ。
 直樹の協力の元
ナナは自分の死体がバラバラに埋められていることを知る。
そして、兄と一緒にバラバラになった己の部位を次々に掘り起こしていく度に、
ナナの中で今までにない力が、序々に目を覚まし始めた。
 すると、同時にこの‘オユウギ’の本当の目的が
思念となってナナの体に送り込まれていった。
儀式である‘オユウギ’が‘ハンカチオトシ’になる前は
‘ハナイチモンメ’であった。
 しかし、‘オユウギ’を執り行うことに嫌気がさした‘親’は、
自分たちが面倒にならないかつ傍観者として楽しめる‘ハンカチオトシ’にしたことがすべての始まりであった。

 己の命の行く末を左右する‘儀式(オユウギ)’は‘親’にとっては
ただの‘お遊び’でしかなかったのだとナナは怒りを露わにし、
バラバラになった己の肉体をすべて取り込むと‘親’に牙を向け・・・

 そしてついに‘ハンカチオトシ’の‘オユウギ’に終止符を打った。
 自分の欲に胡坐をかいていた親に、
今のナナが返り討ちにされることなどありえなかった。
                             *

 そして、
 子供たちの中心には、かつて偉そうに自分たちを見下ろしていた
‘親’の姿がありました。
 顔を塞ぎ、
後ろの正面にいる子供の名前を当てるまで、
決して終わらない‘オユウギ’を執り行っているのです。

 そしてまた、
体を丸め、顔を塞ぐ‘親’を囲み、
子供たちは元気よく‘オユウギ’を始めました。

 きっと、自分の会いたい人にいつでも会えるので
元気なのでしょう。

 かーごーめーかーごーめー
かーごのなーかのとーりぃーはー
いーつーいーつーでーやーるー
よーあーけーのーばーんーにー
つーるとかーめがすーべったー
うしろのしょーめん
だーあれぇ・・・
              《完結》


〜独り言のようなあとがき〜

 これ実は、一年前の夏に書いたものです。なので、お題としては「夏」です。一応・・・。
 自分の中で、夏→ホラーのなんたる短い連想ゲームで決まったこの話。
タイトルの横にはプロットと書いてあるのにどちらかといえは小説に近い気がする・・うーん。そのうち小説に書き起こそうと思っています。長編になりそうな予感・・・。

 最後まで読んでくださってありがとうございます!
 それでは、失礼します。
 

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