KUROBASU

□めでたければいいのです
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灰かぶり

えー・・・ぐだぐだです

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「じゃあ火神くんはお留守番しててね」

「へーへーどうぞ。行ってらっしゃいっす」

今夜はお城で舞踏会が行われる日。

末っ子の火神くんは疲れ切った様子で
お母さんのリコちゃんと二人の姉に手を振りました。

「別にいいじゃんかー火神連れて行ってやっても」

「・・・」

「ほら水戸部も一人残していくのは心配だって言ってるし」

次女の小金井くんが長女の水戸部くんを代弁しながら
リコちゃんに考え直すように言います。
しかしリコちゃんは頑として首を縦に振ることはありませんでした。

「だめよ。今日だけで苦情が何回来たと思っているの?
ピザの配達は自主練じゃないって何べんも何べんも言ってるのにこのバカ神は全く・・・」

どうやらこのお留守番にはちゃんとした理由があるようです。

本当は連れて行ってあげたい気持ちでいっぱいなのですが
学習をしない火神くんのしつけのようでした。

「はぁ〜こりゃだめだ。火神、悪いけど留守番だ」

「別にいいっすよ。先輩だちだけで楽しんできてくれ、ださい」

「・・・・」

「知らない人が来てもドア開けちゃだめってさ」

「わーってますよそんくらいっ!ガキ扱いすんなっつの!!」

そして三人を見送った火神くんは家の掃除に取り掛かりました。

リコちゃんと水戸部くんの部屋はいつもきれいなので、主には小金井くんの部屋です。

「ったく小金井先輩パンツ溜めこむなって言ってのに」

土砂崩れのパンツを片した次はリビング。
暖炉に溜まった灰を片づけ家の中が綺麗さっぱりなった後は
ざっと五人分の食事を作り
リスのようにもっきゅもっきゅと残さず平らげました。

お腹一杯になった火神くんの目はだんだんうとうととしてきました。

お城に出かけたみんなを思い出し、きっと美味しいごはんを食べているのだろうと考えている
とばんばんとドアを叩く音が聞こえました。

「誰だ?こんな時間に」

時計はもうすぐ12時を回ろうとしていました。

不思議に思った火神くんは水戸部くんに言われたことを思い出し
居留守を決め込みましたが、

ガコンっ

「さぁ火神‘武道会’に行くぞ!」
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