KUROBASU

□ご愛嬌で済ませましょ
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ヘンゼルとグレーテル

ヘンゼルが氷室くん、グレーテルが紫原くんです。

えーっと・・・かわいそうな方がいます

**********

「はぁ〜っ困ったなぁ・・・」

「困ったもんじゃなぁ・・・」

お父さんの福井くんとお母さんの岡村くんが重い重いため息をつきました。

その原因は、娘の紫原くんにありました。

「あのお菓子の暴食、なんとかならないのか」

「なんとかせんとは思うが、こればっかりはワシらの手には負えん気がする
しかし、あの人ならなんとかできるかもしれん」

岡村君の思い切った考えに福井くんの顔が引きつります。

「え、あのチョーコワくでちょっと理不尽なあの人こと?」

「やむおえん」

仕方なく、二人は紫原くんを荒木カントクの下へ連れて行くことにしましたが
流石に紫原くん一人ではかわいそうだと思い兄の氷室くんも一緒に連れて行きました。

「ったくなんで私が・・・」

そう言いながら担いだ竹刀で肩をトントンと叩く荒木カントク。やる気マックスです。

「室ちん、雅子ちんちょー怖いよ?」

荒木カントク宅にて夜。二人はこそこそと話していました。

「そうだね敦。彼女は元レディースみたいだからね」

「レディース?それなんのお菓子?」

最初はここに留まるべきかと思った氷室くんでしたが
すぐに頭を切り替え、やはりここは逃げるしかないと窓から外へ飛び降りました。

「敦、取りあえずここからでよう。
大丈夫、家を出るときにちぎったパンを落としてきたからそれをたどれば辿りつくよ」

なにも心配することはないとにこりと笑った氷室くんですが
すぐにその笑顔はどこかへ行ってしまいました。

「あー道端に落ちていたパンなら俺が全部食べちゃった」

「食べちゃったって。敦、お前なぁ・・・」

とほほと肩を落とす氷室くん。
ですがここで諦めるわけにはいきません。
外に出てしまった以上引き返すのはポリシーに反します。

「とりあえず歩こう。
見つかったら怒られるだけじゃ済まなそうだからな」

「え〜歩くのぉ〜」

「歩いた先にはきっとご褒美のお菓子の山が敦を待ってるさ」

「本当に?」

確信はありませんでしたが、取りあえず移動することが最善であると考えた結果でした。
そして、氷室くんの言葉は本物になりました。

「これが、嘘から出た真ってやつか・・・ジャパニーズ・KOTOWAZA」

「何言ってんの室ちん意味わかんないよ?」

辿り着いた先は岡村くんと福井くんが待っている家ではなく
全てがお菓子でできた家でした。

「ねーねーこれってご褒美?
歩いたご褒美だよね?いっただっきま〜す!!」

208pの巨漢が屋根に齧りつく光景は
何とも言えない異様な雰囲気を醸し出していました。

「ちょっとなにアルか朝からがりごりがりごり、うるさくて目が覚めちゃったアルよ・・・
んって!?何やってるアルか!つか誰!?」

「んぅぐ??」

家の主である劉くんが、破壊する勢いで齧りついている紫原くんと
紫原くんの餌食となった‘成れ果て’を見て驚愕しました。

「ほどほどにしておけよ敦」

頭はクールに心はホットが信条の氷室くん。
物語の主導権をあっさり奪い取ってしまった紫原くんを優しくフォローします。

「ぎゃあー!!ポッ○―の骨組見えてるアル!!!」

しかし、劉くんにはいささか非情なようです。

屋根の瓦である板チョコを全てはぎ取った紫原くんは
只今煙突のうんまい棒をへし折るのに真っ最中です。

「な、なにしてるアルかぁ〜
そんなことしたらクッキーもマフィンも焼けないアルぅ〜!!!」

「え、(もぐもぐごくん)中にもなにかあるの?」

「ふぇ?」

屋根から降りた紫原くんはいとも簡単に劉くんを跳ね除け、家の中にずかずかと入りました。

「あ、マシュマロのソファにプリンのテーブル、ぺロぺロキャンディーの窓。
うわぁ〜壁は金平糖でできてるんだぁ。あ、床はフツーの板なんだつまんないの〜」

「やめるアル!!やめて欲しいアル!!!やめて下さいアル!!!」

聞こえていないのか聞いていなのか
泣き叫ぶ劉くんそっちのけで片っ端から詮索してはむしって口に運んでいきます。

「もうこの子何アルかぁ〜!!
さっさとお父さんとお母さん連れてくるアルよ」

「そうしていただけると助かります」

ずっと様子を見ていた氷室くんが苦い笑顔を劉くんに向けました。

「ですが、きっと食べつくすまで動かないと思いますけど」

「えっ!!」

頭の心も至ってクールでドライな氷室くんが傾き始めたお菓子の家を指さします。

「あ、カステラのぬいぐるみ」

「えぇっ!!?」

こうして劉くんの家は紫原くんの手(胃袋?)によって捻り潰されましたとさ。



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題名:ご愛嬌で済ませましょ

・・・済まないでしょ!!?
話切り替わるどころか悪役逆転してる(汗

劉くんごめんなさい(汗汗

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