The Ancient・Life

□Forewode・Life
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‘神殿’に眠る‘核’の研究所「ハレヴ・ルイン」

─────スタスタ

「ったくよー。マジあのハゲ、マジハゲろ」

ブツブツと暴言を吐き複雑に入り組んだ廊下を歩く。
皺の寄った白衣の右襟には研究員である「ラジェスタ」の証
エメラルド色のバッジが光っている。

彼の名前は「赤城 澪央」
年は二十歳前後と思われるその相貌は
高いプライドと尋常超えた知識を持つ他の研究員のサーチ・ウォーカーとは
打って変わって異なる雰囲気をまとっていた。
 
鳶色の髪は乱雑にまとめ上げられ
バレッタで止めてある。
白衣の中はバンドだかの男五人が描かれているロングTに
下は裾が踏まれ解れて破けたジャージ。

これだけでも異質に感じられるのだが
彼は他のサーチ・ウォーカーたちに一目置かれる存在だ。良い意味でも
悪い意味でも。

「おー問題児。お前また呼び出し食らったんだってな!何したんだよ」

「マジで憑りつかれてんじゃないの?」

「新記録おめでとー」

「してねーし、憑かれてねーし、めでたくねーってんだよあっち行けっ」

しっしっ、と
同僚に肩を叩かれ軽くあしらうるアカギには
今月に入って8度目の通知が来ていた。
白衣のポケットの中で紙がくしゃりとつぶれる音がする。

「失礼します」

もう慣れたお決まりの台詞を言い
返事も待たず所長室の扉を開ける。

「待ってだぞ。っと言っても、もうお前の顔見飽きていたんだがな」

「奇遇デスネ俺もデス」

無駄に広い学長室に
黒いスーツに身を包んだやせ形の中年男性は近衛明人。

彼はこのハレヴ・ルインと取り仕切っている所長だ。
ちなみにはげていない。
ふっさふさのダンディーなお人である。

机に置いた手を組み直し、書類をめくる。

「えーじゃぁまず。前回の依頼の件だ」

ぎろりと睨まれアカギの顔が少し怯んだ。



「あー・・・つかれたぁー・・・」

自室に戻りどさっとローラー付きの椅子に座る。
ころころと移動し、本棚に頭をぶつけて止まった。

「つか長ぇーんだよ話」

明人の話は大きく分けて二つ。
一つ目はアカギがしでかした以来の失態。

「ったくこんなご時世何があるかわかったもんじゃないな」
彼らの仕事は神殿から核を見つけ出すこと。
そしてその核を覚醒すること。

覚醒された核は、日常的なエネルギーなる。
ご飯を作るときも、乗り物を動かすときも、
生活するのには欠かせないものだ。

そして、核にはもう一つの力がある。
人と同じ姿の生物に変化することだ。
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