Eternal・Life

□First life:‘曰ク付キ候補生’上級クラスヘノ編入
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都市・ウィカルトの中心部に
一風変わった最新式の建物
『レーヴァテイン共立士官学校』が雲すらも突きぬけるようにそびえ立っている。

その建物の中には、年齢も目の色も髪の色全く異なった者たちが同じ系統の正装に身を包み
同じ色の勲章を左の襟に輝かせている。

一見裕福な生活を送っているのだろうお坊ちゃまお嬢様を思わせる姿をしているが
その中身はなんの変哲もない
ただの一般市民である。

レーヴァテイン共立士官学校の外の者たちと
異なる点を挙げるのなら
魔力《シィド》を持っているか。
その一つの相違点である。
 
この建物はいわば魔力《シィド》をもつ極僅かな者たちのみで構成された士官学校である。

都市・ウィカルトに唯一ある全寮制の強制教育機関だ。
 
この世界・アウリア・ゲイトには三つの種族が存在している。

一つはこの世界の均衡を保つ根源の魔力を
自身で生み出すことを可能にし
尚且つそれらを意志のままに操ることを得意とする応用性に優れた‘エルフ’という種族。

そしてその約五分の一しか生み出すことが出来ないが
個々の形態《シィド》に長け
あらゆる物体を創り出すことを可能にするタルクト。

そしてエルフの三分の一の魔力をもちどちらの才能も受け継いだ
アダルクト(ハーフ・エルフ)である。

この機関に関わるタルクトとそうでないタルクトの違いは
通常より多くの魔力《シィド》を持っているか否か、それだけである。

そのレーヴァテイン共立士官学校に今年
過去災厄な候補生が入学したという噂が
学校中に立ち込めていた。

「おい、お前何点取った?」

「54点。無理だって俺弱ぇーもん」

「そう捻くれんなよ」

「ちっ・・・いーよなぁ候補生様は
俺たち補欠組(穴埋め)とは違ってお気楽でよーおっ!
つかお前は?」

「52点」

「俺より低いじゃねーか・・・」

訓練場で愚痴をこぼす補欠生の男子二人組。
ここには彼ら以外にも
‘候補生になれる可能性がある補欠生’たちでいっぱいになっている。
「諦めるわけにゃいかないしな。もう少し頑張ってみっか」

「そうだな。補欠で終わるなんて切ないしな」

肩を叩き励ましあう。
まだ可能性は残っているのだ。
しかしそんな彼らの切なる思いを打ち砕く補欠生がいた。

「ねぇちょっと見た今のシィド」

「見た見た。何アレ絶対ありえないってっ!」

「さっきのだって5段重ねの土のうブチ抜いた
んだぜ」

「威力だけじゃねぇ制度も半端じゃない」

「反則だろ絶対」

思わず見入ってしまうほどのシィドを間の当たりにし
口々に野次を飛ばす。

それらの中心にいるのは一人の少女。
彼女もまた候補生に成りきれなかった補欠生である。
しかし、

「なんだよ、おかしいだろ」

生徒たちの表情は、優秀な同僚に感服しているのではない。

自分たちとは違う
異形を見るような恐怖に似た表情。

「なんでタルクトしかいない士官学校にエルフがいるんだよ・・・!」

彼女の力は、ここにいる補欠生の実力にはもちろん。
候補生差して変わらないシィドを持って
いたのだ。
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