The Ancient・Life

□Forewode・Life
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都市・へジラート。
観光地としても有名なこの都市には年間多くの人が訪れている。

港に泊まる輸入品を運ぶ貨物船
一般人を乗せている遊覧船。
そして公共の場として設けられている美しい浜辺は
季節関係なく公開されている。

足を地に戻せば、中世を感じさせる石畳の発展都市が出迎えてくれる。
玩具のような色とりどりの屋根や壁
精密なガラス細工がもてなす看板。
外壁、道に隔てなく施された独特なアート。
風に乗って仄かな香りを漂わせる淡い色の草花。
まさに‘楽園’のようだった。

そして、へジラートにはもう一つの観光スポットがあった。

今や生活の基盤として最も注目されている‘核’の研究所。
「ハレヴ・ルイン研究所」だ。

しかし、その実態はほとんど謎に包まれている。
観光の目玉としてツアーの候補にも挙げられたのだがあっさりと断り
関係者以外立ち入り禁止にされている。

お陰で研究員すらめったに顔をみられない。
たまに息抜きや休暇といって現れる程度だ。

世界・アウリアゲイトから魔力が消失し
次に目がつけられたのが魔力に匹敵するほどの価値をもった‘核’という物体。
その普及により瞬く間に繁栄を取り戻していった。

「このお花ください」

「ハイ、カシコマリマシタ」

小さい女の子に丁寧に花束を手向ける大人の女性。
カタコトの言葉は決して機械音ではなく人の肉声で姿も人そのもの。
しかし、
彼女は‘核’を源とする人形だ。

「オ遣イエライネ」

「これねお母さんへのプレゼントなの」

「ソウ、キット喜ンデクレルワ」

「ありがとう」

女の子の頭をなでたり、にっこりと笑って返す姿。

「お疲れ様。ちょっと早いけど、今日は早めに休憩にはいりましょ」

「ホントデスカッ!!ジャ、私本屋行ッテキマス!!今日新刊ノ発売日デ!!」

「はいはい、いってらっしゃい」

日常的な会話や目を輝かせて自分の趣味に夢中になる姿は
言われなければ‘核’の入った人形何てわからない。
 
一家に一台というより、一家に一人はいるもう一つの家族。
始めは都合の良い使用人。それこそ人形の扱いをされていたが
あまりにも彼女たちがもつ感情性に心がうたれて今の形が普通になってきた。

彼女たちのようなものを‘ユナージ’と言う。

アカギは自分が覚醒させたユナージを一般人に渡すようなことはしない。

アカギに課せられた失態は
アカギが覚醒させた核をユナージに変化させたところ
そのユナージがたちまち使い物にならなくたったという苦情だ。

「ったく、そこまで責任持てってかよ」

グルンと椅子ごと一回転して机に両脚を乗せる。
衝撃で机の上にあった書類や本が落ちる。

「あ、やべ」

それらに紛れてもう一つ
手のひらより一回り小さい木箱も落ちた。

「で、この流れで何故こんなもの渡すんだあの人は」

木箱を開けるとそこには
黒曜石のように光るバッジが入っていた。

明人のもう一つの話とは
アカギの「ラジェスタ」から「エアリア」への昇格の言い渡しだった。

「ったく、あのジジィ・・・」

したり顔の明人の顔を思い出し
アカギは四肢を椅子から投げ出した。




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あれ?ギャグになるよねこれ・・・
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