獅子の名

□第一章「千崎澪隠(せんざきれいん)」
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パチパチ…

耳障りなくらい
うわべだけの大きな拍手が
会場を包み
絶え間なく続いている



私の名は
千崎澪隠(せんざきれいん)

高校2年

性別は女

ここは東京

そして

『囲碁』の全国大会予選が行われた



私は壇上にあがった

「優勝おめでとう」

プロの先生が私に微笑んだ


「ありがとうございます」

賞状・盾を受け取り、一礼した。


壇上を降り、師匠が待つ席へと向かう


「澪隠(れいん)さえいなければ…」

「調子乗りやがって」


客席の方から私に向けて発される小さな声


ああ…五月蝿い

耳障りだ


そんなことを考えてるうちに
師匠がいる席についた。


「お疲れ様。家で検討しようか。車を出すから新聞用のインタビューと写真撮り終わったら下に来なさい」


そう言って師匠は私の頭をポンと叩いて行った


「千崎(せんざき)さーん!写真とインタビューお願いします!」


……写真嫌いなんだけど…

小さくため息をついて記者がいる場所へと向かった


案の定
見事に苦笑いの写真が撮れたであろう


インタビューはかなり適当に答えた

正直、どうでもよかった


インタビューが終わるとさっきの小声でぐちぐち言っていた人達がまだいた。

三人の女グループだ

三人の女達は私の姿を見た瞬間に悪口をやめて、薄い笑みを浮かべて近寄って来た


「千崎さん優勝おめでとう」
 

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