一次創作

□見つめ続けて
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※BL注意!!
≪見つめ続けて≫


僕には悪い癖がある。
(ん?)
人と目が合うと
(…目そらした)
相手が目をそらすまで見つめてしまうことだ。



『ドアが閉まります。ご注意ください。』

今日もただ疲れるだけの学校から電車に乗ってごく一般的な家に帰る。
帰宅ラッシュでもない時間帯の電車は人が少ない。
それなのに僕は座らずにドアにもたれかかって立っている。

別に僕の家は近いわけでもない。
いや、むしろ遠いくらいだ。
それでも僕が座らないのにはわけがある。

…僕は癖のせいで向かいに座った人に不審がられたり絡まれたり、とにかくいいことなんてなかったのだ。


電車越しの代わり映えしない風景を見ることにも飽き、僕はケータイに目を落とす。
だが遠い家に帰るまでは長く、ケータイを見ている目は疲れる。
そんな疲労感たっぷりの目を休めるために顔をあげた、その瞬間、

(あっ…)
目が合ってしまった。

しかも目が合った人の制服は…柄の悪い高校の生徒のようだ。
(運が悪い…悪すぎる)
いくら座らなくても目が合ってしまっては意味がない。

さらに、よりによってその人も…
目をそらさない。

(柄悪いとこの生徒なのに…目綺麗だなぁ)
なんて馬鹿なこと考えている僕に天罰が下ってしまった…。

(…えっ?どうしよう!!こっち来る!?)
完全に僕をにらんでいるような目をそらさずに歩み寄ってくる。

僕は今走っている電車の中だ…。
もちろんさっき言ったように人はあまりいない。
こんな状況で考えることは…

(無事に帰れるわけがない!!)

(どうしよう、どうしよう)
焦ってても状況は変わらない。

(目をそらせば!!)
分かってても…

(…そらせないし!!)

そんなこんなで馬鹿みたいなやりとりを脳内で繰り広げてるうちに…

「お前…誰?」

目の前に。


続く。
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