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□短い恋
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「知念。好きだよ。」
その言葉は僕を安心させる策略でしょ?
そんな強がりだった。
本当は寂しかったんだよ。
ねえ。涼介。
「…僕も…好き。」
作り笑いでそう返す。
彼が浮気をしているのは
うすうす気づいていたのだけれど。
それでも僕は違和感に気付かないふりをした。
この恋を壊したくなかった。
まだ思っていたから。
僕は涼介のことがまだ好きだったから。
ずっとそばにいて笑っていたかった。
笑ってほしかった。
それでも…もう君が笑いかけるのは
僕じゃなくてあの人なんだ。
「…知念、どうした?」
「…え。」
僕の額に触れて涼介が心配そうに聞く。
「なんか元気ない?」
その言葉すらも作られたもののようで。
僕は何を答える気力もなかった。