dream
□届かないけど。
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「侑李、ここわかんない。」
「…え…。」
私の言葉に、侑李は驚きの声をあげる。
…失礼な奴。
「先輩、こんなのもわかんないんですか?」
「…バカで悪かったわね!」
「馬鹿なんて問題じゃないですよ。」
淡々と言葉を返すのは、後輩の侑李。
侑李は、一応ジャニーズに入っている
うちの学校のアイドル、で
私の家の近くに住んでいる後輩。
頭がよくて運動神経もよくておまけに可愛い
から、すっごいモテる。
でもね。『可愛い』っていうのは嘘。
本当はただの腹黒いちびなんだけど、
皆その本性を知らない。
ねこかぶってるってわけ。
その本性を知るのは私くらいのもん。
親の前でもねこをかぶる奴なの。
とにかく私はこいつが嫌いー!
だって生意気なんだよ!仮にも
先輩なはずなのにっ。
「先輩、眉間にしわよってますよ。」
「っえ!?」
私がいらいらしてシャーペンをにぎり
しめていると、侑李が覗き込んできた。
おまえのせいだろうが!
といいたかったが、理性でおさえつける。