男主.w

□四品目
1ページ/6ページ






「霧島ーキャベツ」

「みじん切りでいいっすか」

「おうさんきゅ」





フロアでの教育担当は小鳥遊くんだったけど、キッチンでの教育担当はバイト歴が一番長い佐藤さんになった。

佐藤さんは言葉は少ないがいつも分かりやすい教え方をしてくれるので助かる。









トントントントントントン




「おーご苦労さん」

「いや、みじん切り位朝飯前なんで」

「ほんと霧島君来てくれたおかげで助かったよー。手際がいいし仕事が丁寧だし、山田さんが増えたおかげで忙しくなったしねぇ」

「せっかく作った料理をダメにするしな」

「褒めても何も出ませんよ、っとできましたよ。次エビフライですよね」





ワグナリアでバイトを始めて数日、やっと勝手がわかってきた。

ホールでの仕事は接客経験があったしすぐ慣れることができた。その他の仕事も一度教えてもらえればこっちのもので。

キッチンもマニュアルがあるし、幸いいたって真面目な佐藤さんが教育担当になったこともあいまって早く仕事に慣れることができた。




「相馬も霧島を見習え」

「えっ佐藤君酷い!僕は真面目にやってるよ!霧島君もそう思わない?」



佐藤さんが嘘泣きをしながらこっちに話を振ってきた。

ここ数日で予感は確信へと変わったんだが、相馬さんはやっぱり腹黒で人の弱みを握って脅し、からかっては面白がるただの変態で俺の中での相馬さんの位置づけは最悪だ。
そんなことを考えていたら自然と口から発した声は刺を含むものになっていて。





「相馬さん仕事しろ…てください」

「今霧島くん怖かったよ!てかしろっていったよねぇ!?」

「空耳じゃないですか?」

「最近冷たいよね…霧島君俺のこと嫌いなの?」




そう相馬さんが俺に訪ねてきて。
最初はオブラートに包んで言おうとは思ったがこちら側には何のメリットも見いだせなかったので思ったままの事を口に出した。




「いや、人の弱み握って脅してるような姑息な手を使ってる人間とはなるべく関わりたくなくて」

「え!今までそんなこと思ってたの!?霧島君って案外毒舌なんだね…」

「いや、思ったことをそのまま言ったまでです」




相馬さんは若干落ち込んだようにそういうが、俺は表情一つ変えずそう言い放った。
すると佐藤さんが俺に話しかけてきて。




「おい、相馬には敬語使わなくていいぞ。さん付けもしなくていい。霧島が言った通りの人間だからな」

「え、ちょっと何言ってんの佐藤君!」

「あ、じゃあ遠慮なく。相馬で」

「えー…二人とも僕への扱いひどすぎる…」







なんか相馬呼びをすることを佐藤さんから許可が出たので呼び捨てで、敬語もなしになりました。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ