男主.w
□六品目
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「ん?これなんだ…ひよこ?」
バイトの休憩時間、休憩室に入れば机の上に段ボールが積んであって。興味をそそられて中を開けてみると黄色い物体が大量に詰め込まれていて。
開けた衝撃で一個転がり落ちてしまい、拾い上げれば目とくちばしがあって。よく見ればひよこのぬいぐるみらしかった。
「これ全部ひよこなのか?何のために…」
「おー霧島。つっ立ってないで座ったらどうだ」
「あー佐藤君。これ何か知ってる?」
そうして佐藤君にひよこを手渡せば心当たりがあるのか、幾分か思いを巡らせればあ、と思い出したようでカレンダーを見て、
「水日限定で小学生以下の子供におまけであげることにするんだと。店長が考えたらしい」
「ふーん、あの店長にしては名案だね〜」
「それにしてもこのぬいぐるみ、小鳥遊が好きそうなやつだな…」
「え、小鳥遊君って少女趣味なの?乙男?ペドフィリアとかではなく?」
今思えば小鳥遊君は身長が小さい種島さんに対する溺愛ぶりと、身長が大きめな伊波さんへのスパルタさを思い出す。
親子連れの子供を見れば満面の笑みを浮かべたりと考え始めれば心当たりは幾つもあった。
「どっちかというとロリコン?…いや、違うっつってたな、なんだ。チビコン?」
「違います、ミニコンです!俺が好きなのは小さくてかわいいもの全般が好きなだけであって心はれっきとした男ですよ!」
二人で話していると、噂の中心人物であった小鳥遊君が憤慨した様子で休憩室へ入ってきた。
「子供子犬子猫ハムスターミジンコ…一人じゃ生きられない弱弱しいものを保護したい欲に駆られるんです!」
「要するに小鳥遊君はちっさいもん好きなのか?だから種島さんに溺愛してるわけ、納得」
「そうそう…ってちょっと!勝手にに一人で納得しないでください!」
小鳥遊君はよっぽど好きなのか小さいもの好きさを力説し始めた。
しかし俺には良く分からない趣味なので要約して自己完結させるとその答えが気に入らなかったらしく、焦ったような様子で訂正し始めた。
「先輩は恋愛対象というか…とにかくそういう対象として見てないんです!ミジンコと同じレベルで…むしろ父親になりたいくらいで!!!」
そう満足げに小鳥遊君がが告げた後、しばらく沈黙が訪れた。
反応に困り、佐藤君を見やると彼はもう知っていたらしく呆れたようにため息をついていた。
「相変わらずだな…余計性質悪い」
「人の趣味をとやかく言うつもりはないけど、まぁ人にはいろんな趣味があってもいいと思うよ、小鳥遊君。俺は小鳥遊君がまともだと思っていたけど、どんな性癖を持っていようがまぁ…嫌ったりはしないから大丈夫だよ」
「霧島さん!変な誤解しないでくださいよ!」
「性質悪いことについては否定しないんだな」
ロリコンじゃありません!ミニコンです!
(種島さん可哀そうだな…ミジンコと同じって)
(小鳥遊、霧島にドン引きされてるな)
(何でですか!あんな可愛いものを理解できない佐藤さんたちの方がかわいそうです!)
(…俺は理解したくもないっす、ね)
(右に同じだ)