男主.w
□九品目
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「あーさみぃ……雪降らねえっつってたのに……」
マフラーに顔を埋め、一人でワグナリアに向かっている道中。傘はイギリスでの癖もあり傘はささずに歩いている為に頭には雪が積もっていた。
今日の天気予報によると今日一日は晴れとの予報だったのに今は結構の積雪で、ブーツの中に雪が入るわ寒さで顔が痛いわで散々だった。
イギリスの冬も、寒いといえば寒いのだが北海道程大きく氷点下を下回る事もないしここまでの積雪もまずない。
こんなにも寒いというのに小さい子供たちは元気にはしゃいで遊んでいて、この格好も見ているこちらがもっと寒くなってしまうほどの軽装備だった。
「あれー!?水でねーんだけど!!」
「寒いし凍ってるんじゃねぇ?」
「ラッキー!!中の氷取り出そうぜ」
ホースの中で凍っている氷を取り出そうと奮起しているようで、よくこんなに寒いのに素手で遊べるもんだど年寄じみたことを考えながら横尾通り過ぎようとした時だった。
「取れねーな。どーする?」
「もうちょっとで取れそうなんだけど」
「おい、もっと水出せよ!!」
一抹の不安がよぎったために、早足で立ち去りたいところだが、雪が凍っているためにその方法は無理だった。
こういう時に限って嫌な予感というものだけは見事命中するものだ
ホースには短い氷が詰まっているだけだったようで、蛇口をひねって不意にホースをこちら側へと向けた瞬間−−
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