Sketchbook.

□気付くには、遅すぎた。
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「もう…これしかない!!」

「おねがい!やめてぇ!」



ギャリーの持っていたライターの火が、メアリーの絵画を額縁ごと包んで燃やしていく。



「あ…やだ…!」



絵が赤く染まり灰になっていく中、追うようにメアリーの体も炎に包まれていく。

そして、灰になった絵とメアリー自身がザラザラと床に崩れる。





「はぁ…なんというか…」
「オンナってこわいわね…」

「ギャリー、手、怪我してる。」

「あら、ホントだわ。さっきので切っちゃったみたい。」



ギャリーとイヴは、焼け焦げ灰になった絵画の前で安堵の表情を浮かべ、何か話している。

これで、終わった。
なにもかも、すべて。

けれど、なぜだかそう思えなかった。



なにか予感めいたものに胸がざわざわする。

そして、胸のざわめきに手を引かれるように辺りを探れば、



『これは…メアリーの、日記、帳……っ!!』

メアリーの物であろう画用紙やクレヨンの中に、見つけてしまった彼女の日記帳。

内容に目を通せば、途端に涙が溢れ出す。

涙を止めようにも胸の奥底から湧き上がる後悔の念に、涙は次々と零れ、嗚咽が止まらない。


「やだ、リリィどうしたのよ泣いたりなん、て……っ、これ…」

「メアリーの…」


異変に気付いた2人が心配する言葉をかけてくるが、日記帳の内容を見るなり言葉を失う。



日記の中には、彼女の思いがびっしりと書き込まれていた。
どれだけ寂しい思いをして、どれだけ孤独に耐えてきたのか、その答えが全てこの中にあった。

あの小さな体には、幼い彼女には、これほどの孤独を背負うのは荷が重すぎただろうに。



『メア、リー…ごめん、…ごめんね…!!』

最早、その言葉しかなかった。
自分が変わってやればよかったのか、それとも無理だとわかっても一緒に外の世界に連れ出してやればよかったか。

今となっては全て意味を成すことはない。

メアリーの残骸の上に覆い被さって、あたし達は年甲斐もなく泣きじゃくった。

視界の端で、一輪の黄色いバラが燃えていた。





















気付くには、遅すぎた

(もっと早く気付いていたら。)
(いくら後悔しても)
(もう二度と戻らない)

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